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東芝は11月をめどに、「フラッシュメモリー」と呼ばれる半導体を作っている子会社の東芝LSIパッケージソリューション(TPACS)の福岡県宮若市の本社・工場を閉鎖する。従業員約400人は原則、三重県の東芝四日市工場に配置転換し、本社もそこに移す。半導体の価格競争が激しくなり、低コストの海外生産を増やし、国内工場を整理する。3日発表した。宮若の同じ敷地内にある、東芝が10%出資する合弁のシステムLSI工場は操業を続ける。
東芝グループは国内ではフラッシュメモリーを四日市工場とTPACSとの2カ所で生産。TPACSは後半の工程だけ担当していたが、全工程を持つ四日市に集約する。
東芝はフラッシュメモリーで世界シェア2位だが、首位のサムスン電子(韓国)など外国勢が低コスト品の量産を加速させている。東芝は「コスト削減が不可欠。開発を含めた基幹工場の機能は四日市に集約し、量産は生産コストが安い海外に委ねる」と説明している。フラッシュメモリーの海外生産比率は、今の約70%から2010年度末までに約80%に高めるという。
TPACSは、直方東芝エレクトロニクスが1985年につくった宮田工場が発祥。県や地元自治体が旧産炭地振興のため誘致した大型案件の1号だった。宮若市内では現在、トヨタ自動車九州に次ぐ雇用規模で、固定資産税だけで年1億円強を納めていた。