救急車が故障し急患が死亡 /ソウル

 救急車が故障し、路上で10分以上にわたって停止したため、救急患者の搬送が遅れ死亡するという事態が発生した。

 ソウル江西警察署が1日に発表したところによると、Aさん(38)の妻Bさん(36)は先月21日、M病院で帝王切開手術を受け、双子を出産した。ところが、同日昼12時30分ごろ、回復室で休んでいたBさんの容体が悪化した。M病院は「Bさんの動脈血酸素飽和度が正常値(95%以上)より低い83%となり、呼吸困難の状態に陥った」として、大学病院の集中治療室へ早く移送しなければならない、と判断した。

 M病院の救急車がBさんを乗せ出発したのは午後1時10分ごろだった。夫のAさんは、「出発しようとした救急車の酸素吸入器が凍り付き、これを交換するため、出発が10分ほど遅れた。さらに出発してから約15分後、江西区傍花洞の(地下鉄5号線)開花山駅付近でエンストを起こし、おまけに車内の医療機器も電源が入ったり消えたりする状態が続いた」と話した。

 Aさんは救急車が故障したため、午後1時36分ごろ119番へ通報し、消防署の救急車で妻を梨花女子大附属木洞病院へ移送した。Aさんの証言と、救急隊の資料を総合すると、この日午後1時25分ごろから、消防署の救急車が到着した同39分までの十数分の間、病院の救急車の医療機器は十分に作動しない状態だったという。妻のBさんは、消防署の救急車と梨花女子大附属木洞病院で、約2時間の心肺蘇生術を受けたが、この日午後4時5分に息を引き取った。

 遺族は、病院の救急車の故障がBさんの死を招いた、と主張している。夫のAさんは「救急車が動いたり止まったりを繰り返す間に、妻のお腹にガスがたまり、お腹が膨らんだ。主治医が気道を確保するため、口を開けたところ、泡があふれてきた」と怒りをあらわにした。救急車の故障により、Bさんの容体がさらに悪化し、死につながったというわけだ。一方、M病院側は「救急車が故障したことは認めるが、管理が不十分だったということはない。先月中旬には整備も行った」と話している。

 警察は、Bさんの遺体の解剖を国立科学捜査研究所に依頼し、正確な死因を突き止める方針だ。M病院側は、「警察の捜査で病院側に責任があるということが明らかになれば、それを受け入れる」と述べた。

ヤン・スンシク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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