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ガス会社と電力会社の代理戦争 エコ給湯器 が“使えない”仕組み

サイゾー2月 2日(火) 21時 7分配信 / 国内 - 社会
 養老孟司やテリー伊藤などがCMに名を連ね、今年5月の発売から販売数を伸ばし続けている「エネファーム」。11月下旬には社団法人産業環境管理協会から「エコプロダクツ大賞・環境大臣賞」を受けるなど、明るい話題に事欠かない。

 ただ、この商品名を聞いて「エコキュートやエコジョーズとか、ほかによく似た商品があるけど、どう違うの?」と思う人も多いはず。ざっくりと説明すると、これらはすべて省エネ性に優れた給湯器のことで、ヒートポンプ構造と深夜電力割引で光熱費を抑えるエコキュートは電力会社が、排熱を再利用して省エネ化をうたうエコジョーズ、ガス発電時の熱を利用してお湯を沸かすエコウィル、エネファームは主にガス会社が主体となって販売している。

 そのため、給湯器の裏では「ガス会社VS電力会社」のそれぞれの市場拡大を懸けた争いが繰り広げられている、という現状だ。

「近年、オール電化の割合は新築住宅の約3割を超え、ガスを使わない家庭が増えている。これに危機感を覚えたガス会社は、IHコンロよりガスコンロのほうが発電所からの送電ロスが少ないとパンフレットで訴えるなど、必死に対抗している格好です」(大手給湯器販売代理店関係者)

 現状では電力会社発のエコキュートが今年10月末で累計出荷台数200万台を突破し、圧勝。一方、ガス会社発のエネファームはまだ2000〜 3000台と見られている。今後の「ガス会社VS電力会社」の形勢を占う意味でもエネファームは重要な商品のはずだが......不満の声も少なくはない。

「まず、ほぼ100%“モトが取れない”という点が大きな不満のようです。本体価格が約350万円で、国からの約140万円という補助金を差し引いても実際の初期費用は220〜240万円前後といったところ。対する年間の光熱費削減は5〜6万円程度で、10年前後といわれる耐用年数を踏まえると、モトが取れるどころか、赤字は100万円以上となる」(前出・関係者)

 耐用年数はいずれも約10年で、エコジョーズは中心価格20〜30万で光熱費の年間削減額が数千円程度(床暖房除く)、エコウィルは価格約90万円で年間光熱費が3万円程度、対するエコキュートは価格45〜70万円で、年間削減額は5〜12万円程度。つまりエコキュートの人気も"モトが取れる可能性が高い"という点が、大きな要因となっているのだ。同じくエネファームでもモトが取れるように、価格低下や省エネ性能アップを期待したいが......。

「本体価格を安くするには、初年度1万台売っても難しいでしょうね。また劇的な省エネ性能アップも期待薄です。公称値で比べてもCO2削減量はエコキュートを下回っていますが、そもそもエネファームの仕組みである燃料電池コージェネは、工場などの産業分野で用いられていた技術で、大量に湯を使わないと省エネ効果が出にくい。エネファームは発電が最大の特徴ですが、使用湯量に合わせて発電量を決めるシステムのため、使用湯量が減る夏場などは発電量も下がる。開発に挑戦したこと自体は評価されるべきですが、これらの欠点を踏まえると、やはり家庭用としては不向きと言わざるを得ない。また何より問題なのは、完成度の低い商品に最初から高い価格をつけ、有名人を起用したCMをタレ流し、さもエコロジー性や省エネ性が高いかのように宣伝するやり方です」(前出・関係者)

 では実際に購入する人は、どういう人なのか? 東京ガスによると「自分が負担をかぶってでも、環境保護に可能性のある商品に協力したいと、選んでいただく方が多いですね」という。

 こうした“高貴な精神”を持つユーザーに一方的に甘え、改良を怠らなければいいのだが......。
(津川雅大)

【発電+給湯はおトク?】
 ガス発電時の熱を利用して温水を作る「エネファーム」と「エコウィル」は、発電システムとしても使えることがウリ。前者はガスの水素成分と空気中の酸素を化学反応させて発電、後者はガスにより発電機を動かすことで発電し、その余熱で温水を作るもの。いずれも、発電ができる給湯器であるため、環境に配慮しているように見られがちだが、費用面での"おトク度"は決して高いとは言い切れないようだ。

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  • 最終更新:2月 2日(火) 21時 7分
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