廃業を決め会見する安治川親方=東京・江東区の大嶽部屋
日本相撲協会の理事選で、貴乃花親方(37)=元横綱貴乃花=が当選したことに関して、立浪一門で宮城野部屋付きの安治川親方(36)=元幕内光法、本名・峯山賢一=が2日、自分が貴乃花親方に投票したことを公表し、3日に協会に退職届を出し、廃業すると発表した。同親方は、幕内安美錦(伊勢ケ浜)から年寄名跡「安治川」を借りているにもかかわらず、一門の決定に背いて貴乃花親方に投票したことで、ケジメをつけるものとしている。
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2日深夜、友人の大嶽親方(元関脇貴闘力)から大嶽部屋を会場に借り、会見を開いた。安治川親方は「貴乃花親方に1票入れたということで、私は借株という立場なのですが、貸していただいた親方(安美錦の師匠、伊勢ケ浜親方)にご迷惑をかけました。一門の親方にもご迷惑をおかけしましたので決意した」と打ち明けた。
造反票が出た立浪一門は、この日の朝、両国国技館で反省会を開いた。席上で安治川親方は「自分が入れました」と名乗り出た。話し合いの中で、期間を置き、ほかの名跡を探して立浪一門を離脱し、協会に残ってはどうかという案も出たが、安治川親方はけじめをつけることを優先した。
借株の親方は原則、自分に投票先の決定権はない。かねて貴乃花親方を尊敬していたという同親方は「(インタビューで)勇気と心意気という言葉を聞いて、この人なら何とかしてくれるのではと思った。迷ったが、8票目になれればいいかなと思い、入れた。悔いはない」と説明した。貴乃花親方、入門時の師匠である熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)にも退職の旨を伝えている。今後については未定としている。
(2010年2月3日)