【社説】「偽証天国」からの脱却には司法妨害罪の導入を
法務部と検察が「司法妨害罪」の導入を主張している。これは犯罪捜査で、参考人が事情聴取などの段階で虚偽の証言を行った場合、処罰できるようにするというものだ。参考人とは、警察や検察などの捜査機関が犯罪捜査を行う際、第三者の立場から犯罪被疑者の容疑の有無について証言する人物のことをいう。裁判の際、法廷で証言する証人と立場的にはよく似ている。国会は2月の臨時国会で、この司法妨害罪をはじめとする司法改革関連法案について審議を行う予定だ。
韓国は法廷で虚偽の証言をする偽証や、他人によるうその告訴・告発により、いわれのない事件に巻き込まれるケースが世界で最も多い。2007年に日本では偽証罪で138人が立件され、9人が起訴されたが、韓国では3533人が立件され、1544人が起訴された。虚偽告訴罪も、日本は133人の立件に起訴が10人だったが、韓国は立件が4580人、起訴が2171人だった。起訴された人数を基準にすると、偽証罪は日本の171倍、虚偽告訴罪は217倍だ。日本は人口が韓国のほぼ2.5倍であることを考えると、実際は偽証罪が427倍、虚偽告訴罪は543倍に達する。韓国で偽証関連の容疑で有罪判決が宣告されたケースも、2006年に1066人、07年1451人、08年1792人と、毎年増え続けている。
証人が法廷で偽証をすると、5年以下の懲役か1000万ウォン(約78万円)以下の罰金刑に処せられる。それでも法廷でうその証言をする人間がこれほど多いのは、たとえ偽証を行っても処罰を受けない捜査段階での参考人が、いかにでたらめばかり語っているかを意味している。06年に大邱地検が、偽証で摘発された容疑者たちに対してその動機を問いただしたところ、「知り合いだから」が52.9%で最も多く、「金銭面での代償を約束したから」が26.5%で2番目に多かった。血縁・地縁・学閥を土台とする縁故主義・温情主義と、金さえもらえるのであれば何でもできるという考え方が、時に「息を吐くようにうそをつく」などといわれるような社会の雰囲気を作り上げているのだ。
法廷であれ捜査段階であれ、偽証や虚偽告訴は犯罪の真実解明を妨害する。それだけではない。必ず処罰を受けるべき犯罪者が巧妙に法の網をくぐり抜け、関係ない人間にいわれのない処罰を受けさせることもある。米国ではクリントン、ニクソンの両元大統領が現職中に弾劾直前にまで追いやられたことがあるが、いずれも偽証と司法妨害罪が原因だった。大韓民国の国民が世界で最もうそをつくという汚名を返上するためにも、司法妨害罪の導入を急ぐべきだ。
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