今日の話題 (2/1)有機・減農薬栽培の「どぶろく」目立つ・都内でイベント
酒文化研究所(東京・千代田)は1月30日、全国各地のどぶろくを一堂に集めたイベントを都内で開いた。製造免許を持つ国内の生産者の約半数にあたる75業者が出品、その多くが有機肥料や減農薬といった環境負荷を抑えた栽培法による米を使ったのが特徴だ。来場者や専門家の投票による「どぶろく大賞2010」には、新潟県上越市の棚田で有機肥料と雨水だけを使い低農薬栽培したコメが原料の「どぶろく卓」が選ばれた。 このイベントの名称は「TOKYOどぶろくフェスタ」で、東京都世田谷区にある東京農業大学ホールで開かれた。小泉政権時代の「構造改革」の1つとして誕生した「どぶろく特区」の認定を受けた全国133生産者(2009年06月酒文化研究所調べ)のうち75業者が出品した。
大賞受賞商品「どぶろく卓」を生産した農家民宿どぶろく荘(上越市)の中川卓夫代表は「地域で集めた生ゴミを堆肥にして有機肥料として使い、棚田という地形上の問題もあり水は雨水だけ。農薬は稲の成長前の5月に除草剤を一度散布するだけに留めている」と環境負荷低減を意識した農法を説明する。 大賞受賞商品以外にも、会場には環境負荷が低い栽培法によるコメを原料にしたどぶろくが並んだ。
「どぶろくおやっさん」を出品した兵庫県篠山市の自然薯庵(酒井昇代表)は、昨年9月、NPO法人バイオマス丹波篠山を発足。手入れの行き届いていない同地域の山林の間伐材を活用したチップやバイオディーゼル燃料の開発研究に乗りだした。耕運機の燃料としての利用などを目指している。 「古河のどぶろく 雪桃水(淡麗)」を出品した森ファームサービス(茨城県古河市、森雅美社長)は毎日の食生活から出る生ごみを堆肥にし、これを有機肥料として農作業をし収穫した作物を再び食生活に戻す循環型リサイクル農業による米作りを進めている。
どぶろく「またぎの夢」を出品した、温泉施設などを経営するマタギの里観光開発(北秋田市)は「瓶売りせず地元で1合450円で量り売りだけしている。山深い温泉地の雰囲気とともに味わってほしい」(濁酒=だくしゅ=製造責任者の泉明博さん)という。 狩野卓也・同研究所社長は「酒米を磨きに磨いて淡麗な味を追求しがちな清酒と比べて、どぶろくは原料米の雑味も含めて米の個性を楽しめるのが魅力。元々原料米を無駄にしない分、環境に優しい存在だったが、有機や減農薬栽培が加わって一段と自然環境を意識しやすい酒になってきた」と話す。 [2010年2月1日/Ecolomy] 「今日の話題」最新記事
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