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人体の不思議展
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今まで人体標本と言えば医学、特に解剖学という専門分野でしか知り得なかった世界を、一般に公開する「人体の不思議展」が東京国際フォーラムで開催中(2004年2月1日まで)。健康意識が高まる昨今、『からだ』への理解をさらに深め、健康管理にも役立ててもらいたい ― との目的で開催されています。「人間とは」「命とは」「からだとは」「健康とは」…人体標本を通じて様々なことを感じ、考えさせられる機会となりました。






「人体の不思議展」入り口


全身標本の展示


 


全身骨格筋標本。胸壁と腹壁の一部を切り開き、内部の臓器を取り除いてあり、胸腔と腹腔の広がりを観察することができます。




  


プラストミック標本

標本といえば、20世紀後半まではホルマリン容器に入った白色の保存臓器や、模型のがい骨などを使っており、医師ですらその匂い、標本の扱いにくさに困惑してたそうです。そのような難問を解決した標本が、今回の『プラストミック標本』。新技術で作られたプラストミック標本は匂いもなく、また弾力性に富み、直に触れて観察でき、常温で半永久的に保存できる画期的な人体標本です。
今展では、この最新技術による全身解剖標本16体をはじめ、頭蓋骨の断面や内臓、血管の仕組みがわかる標本など、これまで医学、特に解剖学の場でしか見ることの出来なかった160余点を間近に見ることができるほか、実際に手で触れることの出来る標本も展示されました。

なお、今展に展示されている人体プラストミック標本は、すべて生前からの意志に基づく献体によって提供されています。

インフォームド・コンセント

海外では早くから『インフォームド・コンセント』という患者の意思を反映させ、医療計画を立てていく考えがあったそうです。すなわち、「自分自身が自分の<からだ>を知らなければ、医師とのコミュニケーションは図れない」という考え方です。医師と患者それぞれの人体の構造への知識に大きなギャップが存在し、説明していることがうまく伝わらないということが少なからずあります。人体内部の複雑な立体構造を理解し、患者と医師の間のギャップも埋め、対話の共通基盤を築いていくことが重要になります。プラストミック標本という新しい保存法により、綿密な解剖を多くの人々が観察することが可能になりました。


筋骨格系と神経系

会場は大きく3つのテーマで構成されています。まずは、筋骨格系と神経系。人体の外形をつくる骨格と筋肉を観察したうえで関節の動きを想像し、さらに一つひとつの筋肉にはかならず神経が来ていることが理解できます。


全身骨格

手術器具などを付けた標本


全身遊離筋肉

全身神経
今展の大きな特長のひとつとして、全身標本が多いことが挙げられます。分離された個々の器官を結ぶように、全身の標本でその繋がりを知ることができます。
写真左上は全身骨格。右上は手術器具などを付けた標本、骨折部に装着されている固定具、人工関節、心臓のペースメーカーなどが付けられています。左下は全身遊離筋肉、この標本では骨格筋の片方の腱を外して、筋肉を挙上しています。腕や脚では多くの筋肉がぶら下がっていますが、これらの筋肉が協調して動き、作業や歩行が可能となっています。右下は全身神経、この標本では各神経が頭蓋腔および脊髄から出て全身に広がっているのを見ることができます。


頭部前額断
頭部を顔面に平行に、つまり前額断(前頭断)で連続的に切った標本。頭部の内部構造が分かりやすく示されています。それぞれの断面で、脳、鼻腔、副鼻腔、口腔の形が変化し、複雑な形をしていることが分かります。



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