家の周りに高い塀を張り巡らし、衆目を避けるように暮らした【山陰中央新報のコラム】人気絶頂の表舞台から忽然(こつぜん)として姿を消す。そんな有名人のイメージを、かつてのアイドル歌手、山口百恵さんに重ね合わせる人も多いのではないか。結婚という引退理由になんの衒(てら)いもない。惜しまれながらも、てんとして人気を振り払う引き際。鮮やかで、さわやかでさえあった
▼百恵さんから時代はさかのぼって往年の大女優、原節子さんも突然トップ女優の座に自ら幕を引いてしまった。こちらは謎の引退。ゴージャスで艶やかな当時のイメージを温めたままその謎は、公の場から姿を消して50年近くたつ89歳になる今でも解けないでいる
▼先日91歳の生涯を閉じた米国の代表的作家、J・D・サリンジャー氏。人気絶頂の花道を自ら閉ざすというある種の美学でこの2人の女性の生き方と共鳴し合う。原節子さんの引退と相前後するように、最後の作品を世に送り出してから隠居生活にこもる
▼家の周りに高い塀を張り巡らし、衆目を避けるように暮らしたという。40年以上にわたって作家活動を封印してきたにもかかわらず人気は衰えず、隠れようとすればするほどカリスマ性が高まる伝説作家をめぐる謎は多い…(2010年2月2日付「明窓」)全文はこちら
【写真】死去したジェローム・デービッド・サリンジャー氏(米国の作家)(AP=共同)
15作品以上が未刊行という情報もあるようだ かつての恋人によると、少なくとも2編の小説が大切に保管されているという【徳島新聞のコラム】…日本では2003年、村上春樹さんの新訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」も出て「ライ麦畑-」人気が再燃した。そのサリンジャー氏が91歳で亡くなったという。驚いた。もうとっくに鬼籍に入ったとばかり思っていたからである
「ライ麦畑-」で大きな名声を得たあと、田舎町で隠遁(いんとん)生活を送り、50年以上も新作を発表していなかったというのだから無理もない。公の場に姿を現さず、取材やインタビューにもほとんど応じていなかった
絶筆していたわけではないようだ。かつての恋人によると、少なくとも2編の小説が大切に保管されているという。15作品以上が未刊行という、サリンジャー氏本人による情報もあるようだ
なぜ発表しなかったのか。そうすれば、ファンが大喜びしただろうに。どこまでも謎の多い作家である。(2010年1月31日付「鳴潮」)全文はこちら
サリンジャーさんは作者の略歴、訳者解説を加えてはならないと注文をつけたそうな【東奥日報のコラム】米国の作家J・D・サリンジャーさんの「ライ麦畑でつかまえて」(白水社)を図書館から借りた。…
極端に寡作で、60年代半ばには執筆をやめた。その以前から田舎に引きこもる隠とん生活をしてきたサリンジャーさんは、この小説を日本語に訳す際、作者の略歴、訳者解説を加えてはならないと注文をつけたそうな。
本の奥付にあった訳者紹介が随分あっさりなのはそのせいか。訳者解説は載っている。15年前に逝き、お元気なら93歳の野崎さんが「難事に挑んでよかった」と言えば、91歳での悲報が伝えられたサリンジャーさんは「なぜ解説したの?」。天国でそんな会話が交わされているかもしれない。(2010年1月31日付「天地人」)全文はこちら
未発表作品が数多く残るとの情報も… 本当なら遺族が刊行を許可してくれないか…【河北新報のコラム】小説の続編を他人が書くことは許されるか。米ニューヨーク連邦地裁は昨年、著作権の侵害に当たるとして、出版差し止めを命じた。書名は『60年後 ライ麦畑を通り抜け』
▼原作はもちろんJ・D・サリンジャーさんの『ライ麦畑でつかまえて』(1951年)だ。パロディーでイメージを傷つけたくない半面、読んでみたいと思った人もいたのではないか
▼青春のバイブルとも言われる名作。成績不振で放校された16歳の主人公の大人社会への反発や心の葛藤(かっとう)を描く。…
サリンジャーさんが91歳で亡くなった。『ナインストーリーズ』なども人気が高いが、寡作で45年近く新刊はない。世間とのつながりを完全に断ち、ファンレターさえ受け取らなかった
▼かつて「私は執筆を愛している。ただ、自分の楽しみのために書く」と語った。未発表作品が数多く残るとの情報もあるらしい。本当なら遺族が刊行を許可してくれないか。期待は高まる。…(2010年1月30日付「河北春秋」)全文はこちら
◆「ライ麦」続編は差し止め 米、サリンジャー氏勝訴 2009/07/02 12:18 【共同通信】
「ライ麦畑」を読むのは少年期の「通過儀礼」になっていた感さえある…【中日新聞のコラム】多分、「特別な物語」と呼んでいいだろう。『ライ麦畑でつかまえて』。一九五一年に米国で出版後、世界各国で翻訳され、発行部数は実に六千万部を超える。今なお、年に二十五万部ほども売れ続けているという
▼ユーモラスな口語体で、少年の社会への反抗を描いた青春小説。数年前に新訳を出した作家村上春樹さんが言う通り、それを読むのは、少年期の「通過儀礼」になっていた感さえある。筆者もはるか昔、そこを通った一人
▼歌手ジョン・レノン射殺犯やレーガン元大統領銃撃犯が“愛読”していたことでも知られるようだ。しかし、この物語に特別な色彩を与えている最たるものは、やはり、その作者J・D・サリンジャーさんの存在だろう…(2010年1月30日付「中日春秋」)全文はこちら
「ライ麦畑でつかまえて」は「反抗する若者のバイブル」とも呼ばれた【北日本新聞のコラム】これまでに全世界で6500万部以上が出版され、現在も年に25万部以上が発売されるという。1951年に出版され、「反抗する若者のバイブル」とも呼ばれたJ・D・サリンジャーさんの『ライ麦畑でつかまえて』は、世界的なロングセラーである。
中高年には野崎孝さんが翻訳した『ライ麦畑で-』がなじみ深いが、最近の若い人には原題そのままの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の方が知られているかもしれない。2003年に作家の村上春樹さんが、そのタイトルで新訳を出版している。
村上さんが『キャッチャー』を読んだのは、高校2年生ぐらいのころという。当時は1960年代半ばで「『キャッチャー』を読むことはひとつの通過儀礼みたいなもの」だったらしい(村上春樹・柴田元幸著『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』)。…(2010年01月30日付「天地人」)全文はこちら
ジョン・レノンに銃口を向けた男は、「ライ麦畑」を持っていた【四国新聞のコラム】「これが私の声明だ」。30年前の月曜の朝、25歳の男は書店で赤い表紙の本を購入した。そして表紙の裏にペンでそう書き込んだ。その夜遅く、男は元ビートルズのジョン・レノンに銃口を向けた。
警備員に銃を奪われると、男は本を取り出し、銃を隠し持っていると思われないようにコートを脱いだ。そうして警官が来るのを待っていたという(ジャック・ジョーンズ「ジョン・レノンを殺した男」リブロポート)。
男が持っていた本は「ライ麦畑でつかまえて」。高校をやめてばかりの少年が、偽善やうそに満ちた大人社会に反発する1951年の米国の小説だ。男は自分を主人公と、ジョンをインチキな大人と重ね、犯行に及んだとも言われる。…(2010年1月30日付)全文はこちら
米作家J・D・サリンジャー氏死去 「ライ麦畑」が世界的人気【共同通信の記事】【ニューヨーク共同】1951年の青春小説「ライ麦畑でつかまえて」で世界的に知られる米作家J・D・サリンジャー氏が27日、米東部ニューハンプシャー州コーニッシュの自宅で老衰のため死去した。91歳。同氏の代理人が28日発表した。極めて寡作で65年以降は作品を公表せず、高い塀に囲まれた家で隠居し、公の場に姿を現さない伝説的な存在だった。
米紙ニューヨーク・タイムズは「第2次世界大戦後、最も著名な米作家だった」と伝えた。 「ライ麦畑」はこれまでに全世界で6500万部以上を出版、現在も年に25万部以上が発売されているといわれる。日本でも数多くの作家らに影響を与え、2003年には村上春樹氏が「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の題で新訳を出し話題となった。
代理人によると、昨年5月に腰を痛めたが、その後回復。今年に入り容体が急変、27日には痛みもなく「静かに亡くなった」という。前妻との間に1男1女があり、長男のマット氏は俳優。…(2010/01/29 09:38)全文はこちら