2010年2月2日 12時17分更新
原爆投下後に広島に降った放射性物質を含んだ雨、「黒い雨」についての研究報告会が、1日、広島市で開かれ、研究者から雨の降った範囲が従来、国が認めていたよりも広かった可能性が示されました。
「黒い雨」をめぐって国は、爆心地周辺の南北19キロの楕円形の範囲で大雨が降り、放射性物質による健康への影響がでる可能性があるとして、この地域の住民だけを救済の対象としています。
しかし、この範囲外の住民からも「黒い雨が降った」という証言や、健康被害の訴えが相次いでいます。1日の報告会は、広島市が、「黒い雨」を研究している全国の専門家を集めて開きました。
このうち広島大学原爆放射線医科学研究所の星正治教授は、大雨が降ったと国が認めている範囲外の地域で、住宅2か所の床下の土から、放射性物質が検出されたことを報告しました。
この住宅は終戦直後に建てられたため、黒い雨が降った当時の土壌の状態が残っており、放射性物質を含んだ雨が広い範囲に及んでいた可能性を示しています。
会場に集まった住民は「これまでの国の対応が誤っていることが証明されていると思う。国は『黒い雨』が降った範囲や救済の対象を早急に見直すべきだ」などと話していました。
また星教授は「床下の土の分析だけでなく、さまざまな研究成果を積み上げることで、科学的に確かなデータを出していきたいと思う」と話していました。