社説
国会代表質問 この調子で政策論争を(2月2日)
通常国会で鳩山由紀夫首相の施政方針演説に対する代表質問が始まった。
1番手に立った自民党の谷垣禎一総裁の質問は、先日の衆院予算委員会と打って変わり切れ味鋭いものだった。
「いのちを守りたい」と演説でもっぱら理念を語った首相との違いを際立たせようとしたのだろう。
2010年度予算案を「マニフェスト違反予算」と厳しく批判し、無駄排除の限界や公債発行額の拡大など具体論に切り込んでいった。
とりわけ時間を割いたのは目玉政策の子ども手当だ。谷垣氏は「理念なきバラマキ」と断じ、旧政権の児童手当とどう違うのかただした。
質問の背景には新制度を「子育てを社会全体で応援する第一歩」と位置づける民主党と、「一義的にはまず親、家庭が責任を持つべきだ」とする自民党の立場の相違がある。
首相は「児童手当は子どもが育つ家庭に注目し、子ども手当は子どもに注目している」と答弁した。これでは二つの制度の理念をそれぞれ説明したにすぎない。
聞きたかったのは、子ども手当の支給で少子化対策にどういった政策効果が見込めるのかという点だ。
野田佳彦財務副大臣が11年度からの満額支給は「ハードルが高い」と述べたばかりである。財源の制約がある中で、所得制限を設ける必要はないのか。今後の詳細な制度設計も国民の関心事だろう。
谷垣氏は冒頭で首相と民主党の小沢一郎幹事長の「政治とカネ」の問題も取り上げた。
小沢氏は検察から再聴取され、4日には資金管理団体の土地購入事件で逮捕された石川知裕衆院議員(道11区)らの拘置期限を迎える。捜査はヤマ場に差し掛かっている。
谷垣氏の口からは、鳩山政権を「小沢独裁」と決めつける言葉も飛び出した。ただ質問の重点は政策論にあったと言えよう。
国会でようやく政策論争の環境が整ってきた。歓迎したい。予算委員会でもこの調子で活発な論戦を交わしてほしい。そのためには首相にもっと踏み込んだ答弁を求めたい。
谷垣氏が社会保障制度改革を議論する超党派の「円卓会議」設置を提案すると「まずは国会で議論すべきだ」とおざなりの対応を見せた。
民主党が政治主導を掲げるなら、野党の呼びかけに積極的に応じ、政治家同士による大所高所からの論議を進めるのが筋ではないか。
谷垣氏も与党時代の政権運営を率直に振り返る言葉があれば、議論に説得力が増しただろう。
過去の政策を検証して国民生活の新たな出発点を築く。そういう視点に立った論戦が大事だ。
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