息子にお受験させた理由AERA12月25日(金) 12時 3分配信 / 国内 - 社会長男の学び舎として名門私大の付属小を選択した。その胸中とは──。── 自民党の義家弘介参院議員(38)の長男が2010年春、名門私大の付属小学校に入学する。学費は年間約100万円。約1年前に「お受験」を決め、長男を塾に通わせた。 アエラの取材に義家氏は、 「私立を選んだわけではなく、学区内の公立小学校に行かせない選択をした」 と話す。自宅のある横浜市は公立小の通学区域制度を採る。地元の公立か私立かの二者択一を迫られた結果だという。 ■公教育を見限った? 通称「ヤンキー先生」。 義家氏は高校2年生のときに暴力事件を起こし、北海道の私立北星学園余市高校に編入する。明治学院大卒業後、塾講師をへて1999年、母校の余市の教壇に。03年、その熱血指導ぶりがテレビでドキュメンタリー化され、自著も「ヤンキー母校に帰る」としてドラマ化されるなど、世間の注目を集めた。 その後は横浜市の教育委員、安倍政権下で発足した教育再生会議の担当室室長、「よこはま教師塾」の初代塾長を務め、公教育の再生に尽力した。 再生会議の委員に就いた際、義家氏はこう語っている。 「自分は教育に救ってもらった。これから先はその恩返しだと思っている」 発言から3年が過ぎた。長男のお受験は、公教育を見限ったということなのか。義家氏は語気を強め、こう話す。 「私が全面対決している不正常な教育現場の実情に、子どもを巻き込むわけにはいかない」 09年1月、民主党の輿石東参院議員会長は日本教職員組合(日教組)の会合で、 「教育に政治的中立はない。私も日教組とともに戦っていく」 と発言した。輿石氏は山梨県教組の元委員長。日教組の政治団体、日本民主教育政治連盟の会長だ。 「当時、幹事長だった鳩山首相も日教組に協力を求めるような発言をしていた。輿石氏は現在も同様の発言をしている」 と義家氏は指摘する。「野党時代は暫定税率廃止と言いながら、与党になると撤回する。政治的中立がないとはそういうことだ」と皮肉ったうえで、こう続けた。 「教育には一貫した方向性が必要。ときの政権、政治によって左右されてはならない。教員免許更新制が廃止されるが、指導力不足と認定された教師の8割以上が20年以上のベテラン。教員養成6年制で解決されることではない」 教育委員時代は自ら「不正常な現場」を数多く見てきた。 「卒業式間近の校長会で『日の丸、君が代はやったと報告し、適当にあしらうように』なんてファクスが出回る。ミーティングでも、最初に出るのは労働条件の話。学校は誰のためのものなのか」 ■タバコは吸い続ける とはいえ、誰もが子どものために私学の高い学費を負担できるわけではない。公立不信からお受験も活発になっているが、所得階層の高い親の子ども同士で学ぶことで、他者への理解が鈍感になる可能性もある。人の痛みがわからない人間が増えるのではないか。そうした懸念を義家氏にぶつけると、 「そう思いますよ。同感です」 と即答した。 義家氏は一日2箱のタバコを吸う。半分は習慣だが、半分は「教え子たちのため」と言う。 「ヤンキー先生はタバコを吸っていたほうがいいじゃないですか。くだらないかもしれませんが、タバコをやめたことで『先生、変わっちゃった』と思う教え子もいるんです」 編集部 澤田晃宏 (1月4-11日号)
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