日中歴史共同研究の報告書要旨<1>…満州事変まで
1月31日発表された、日中歴史共同研究報告書要旨は次の通り(中国側要旨は読売新聞社訳)。
◇
<序>=(略)
<古代・中近世史>=(略)
<近現代史>
【明治維新】
日本側 明治維新では、中央集権でなければ外国と対抗できないことが広く理解されていた。薩長の下級武士からなる官僚が藩を廃止し、自ら武士(身分)も廃止した。清国の改革「洋務運動」は十分な成果を上げなかった。全国一体としての運動にならず、儒教が大きな障害になったというべきだろう。
中国側 明治政府は国内改革の成功で国力を結集し、近代強国に成長し、対外的な力を強化した。洋務運動での重点は近代海軍の創設で、清国の海軍は当時、日本に実力で勝っていたが、実戦や訓練が著しく不足し、装備も日増しに老朽化した。
【脱亜入欧】
日本側 福沢諭吉の「脱亜論」は、「脱亜」という言葉もタイトル以外には使われておらず、強硬なアジア外交を説いたものではなかった。ただ、日朝、日清の連携が以後、強調されなくなる。
中国側 「脱亜入欧」は中国人への蔑視(べっし)や敵対感情をあおった。欧米諸国に文明国として見られたがる心情が表れている。対外拡張主義や武力至上論の道具になった。
【琉球(沖縄)帰属】
日本側 (琉球王国は)元来、日清両属と呼ぶべき位置にあった。17世紀以来、事実上琉球を支配していたのは薩摩藩で、清国もそのことを知っていた。(日本帰属は)民衆にとって明らかによい方向への変化だった。
中国側 琉球は中国と日本の双方に属していた時期があったが、1879年に日本に併合されるまで独立国の地位を保っていた。琉球は中国との関係断絶を好まず、国体や政体の変更を好まなかった。
【日清戦争】
日本側 日本が朝鮮の内政改革案を提示し、朝鮮と中国が反発。日本が親日政権を朝鮮に成立させるなどしたため、日清両国は対立を深めて宣戦布告した。戦局は日本有利に進行し、講和で日本が得た賠償金は軍備拡張費などに利用され、産業発展の基礎となった。
中国側 朝鮮の内政改革は日中間の衝突を促す外交手段に過ぎなかった。日本軍は清国軍を攻撃し、清国は戦う決意もなかったが、日本に宣戦せざるを得なくなった。近代日本軍国主義が中国、韓国に対して起こした大規模な侵略戦争であり、近代東アジア国家関係が激変した転換点だった。
【日露戦争】
日本側 中国は中立を宣言したが、個人的に日本に協力し、戦争終結後に勲章を受けた者が少なくない。しかし、日本がロシアにかわって満州の占領統治を開始すると、日本を批判する言論が目立つようになった。ただ、戦争後に日本の対中政策が一層強硬になったと単純に論じることはできない。
中国側 日露戦争で中国の国家主権や国益はさらに失われた。日本は清国にロシアが東北部で手にしていた権益を譲るよう迫ったばかりでなく、道路を建設するなどの植民地権益を強引に手に入れた。日本は大拡張を成し遂げ、サハリン南部、遼東半島を占拠し、朝鮮を支配下に置いた。軍事植民帝国の初歩的な形成を遂げ、更なる侵略のために、多方面で基礎を築いた。
【辛亥革命】
日本側 (清朝を倒し、中華民国を樹立した)辛亥革命について、日本政府は静観の方針を採り、成り行きに任せる決定を行った。後に英仏独露とともに借款を行い、新政府を承認した。
中国側 孫文らは日本を活動拠点として宮崎滔天、犬養毅などから多大な支援を受けていた。武装蜂起に必要な軍事訓練や武器の購入などもほとんど日本で行われた。日本の軍政当局は天皇制を維持するため、中国革命の影響に憂慮や反対を表明した。
【対華21か条要求】
日本側 日本は第1次世界大戦期に対華21か条要求という過大な要求を最後通告で突きつけるという失策を犯した。とはいえ、そこから日本が一貫して大陸への膨張に突き進んだわけではない。
中国側 日中間で衝突も起きておらず、日本の21か条要求は理不尽。要求は政治、経済、軍事などの面で中国を支配しようとしたもので、日本の中国に対する侵略は大きく前進した。
【満州事変】
日本側 関東軍は南満州鉄道の爆破を「中国軍の仕業」「自衛」と称し、一気に(満州=中国東北部=中心都市の)奉天を制圧した。若槻内閣は事態不拡大方針を決めたが、(陸軍の)朝鮮軍が独断で国境を越えたため、追認せざるを得なかった。この後、現地軍の一部が突出し、陸軍指導部と政府が行動を追認していくパターンが繰り返されることになる。
中国側 関東軍は鉄道爆破を中国軍の仕業として中国東北地方侵略の「満州事変」を発動した。日本政府は「事態不拡大」の方針を表明したが、次第に拡大する軍部の中国侵略行動に実質的に追随した。昭和天皇は関東軍の行動を褒めたたえる「勅語」を下した。
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日中で南京虐殺犠牲者一致せず 共同研究報告書 1月31日(日) 17時16分 (共同通信) | 爬虫類のように生きた古代ヤギ 11月17日(火) 17時55分 (ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) |
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