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【福井発】永平寺門前の街並み整備 「心の観光地」再生へ2010年2月1日
滞在延長、再訪増目指す永平寺町と永平寺門前観光協会は県の補助を受け、今年4月から2年計画で門前の街並み整備に乗り出す。大本山永平寺の参拝客数の低迷から脱却するための事業で、「おもてなしの心」によって、参拝客の滞在時間延長やリピーターの増加などを目指す。景気の悪化などから国内各観光地は苦戦しているが、ハードとソフト両面による取り組みで再生を図ろうとしている門前を探った。 (山本洋児) ■事業計画本山の参拝客数は、一九八〇年の約百四十九万人をピークに、次第に減少。二〇〇七、〇八年は約六十万人と、最盛期の40%にまで大幅に落ち込んだ。整備事業によって、一三年には〇八年の三割増となる年間八十万人を目標にしている。 これまで同観光協会は道元禅師の歌碑や外灯の新設、土産品の共同開発などの工夫を重ねてきたが、大きな効果は得られなかった。会員の一人は「観光客が百万人いた時は危機感が全くなかった。行政だけでなく、門前の店同士も連携不足だった」と振り返る。
今回の整備事業は、行政と地元が一体となって進める。ハード面では、門前の道路をカラー舗装したり店舗デザインを統一したりするほか、参道周辺にベンチなどの休憩所を設ける。山沿いにはモミジも植樹する。 ソフト面では、観光協会内に「マナー向上委員会」を立ち上げ、外部講師を招いて研修を実施する。強引な客の呼び込みを自粛させるのが狙いだ。近くの空き寺「拍樹庵(あん)」では、観光ボランティアガイドが写経体験を指導する。 ■門前の現状現在の門前では、駐車場を使う観光客に一定金額以上の商品の購入を迫る店があるなど、駐車場への呼び込みでトラブルになるケースが多い。別の店で土産物を買った客に「なぜほかの店で買ったのか」と文句を言う店もあるという。 観光協会の井上隆二会長は「永平寺は心の観光地だが、門前は駐車場中心の商売によって客の気分を害している」と嘆く。計画は全会員の同意が得られているものの、一部で「これまで通りの商売ができなくなる」と心配する声もある。 ■意識改革へ三重県から訪れた岩越大範さん(24)と原智美さん(27)は「駐車場を使うから仕方なくお土産を買うが、欲しい物がない。食べ歩きができればもっとにぎやかになる」と話す。 井上会長は「客引きの労力を個性的な店づくりのために使うべきだ。景観整備を機にマナー向上にも取り組み、各店の意識が変わることを期待したい。今回が最後のチャンス」と決意は固い。 不変の良さを持つ本山と、時代とともに変わるもてなし方法。本当の意味で「心の観光地」となるには、まず地元関係者の意識改革が求められる。
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