足利事件で無罪が確実になった菅家利和さん(63)が31日、中津川市で開かれた元同市議の「代読裁判」を支援する市民の集いに参加。無実の罪を着せられるまでの警察、検察とのやり取りなどを赤裸々に話した。
集いは、在任中に下咽喉がんで声帯を失った小池公夫・元中津川市議(70)が、議会での代読を認めなかった市議、大山耕二市長らを相手取って起こした損害賠償訴訟を支援する市民集会。同市千旦林の「ちこり村」に約300人を集めた。
菅家さんを担当してきた町田伸一弁護士が足利事件の経緯を説明。同弁護士がインタビューする形で、菅家さんが逮捕当時の様子などを話した。
菅家さんは「警察ではいきなり『子どもを殺したなぁ』と言われ、ひじ鉄砲を食わされひっくり返った」など、暴力も加えた十数時間にも及ぶ事情聴取の果て、ついには「私がやりました」と“自白”させられるまでの様子を、時には怒りを込めて話した。弁護士も当初から犯人と決め付けた態度で接したといい、「弁護士にも謝罪してほしい」と厳しい口調で語った。逮捕から2週間後には父親が亡くなり、家族が引っ越すなど環境も激変した。
最後に菅家さんは「支援してくれた人たちに助けられた。3月26日の再審公判で無罪判決が出たら、自分と同じように冤罪で苦しむ人たちの支援に取り組みたい」と少し表情を和らげた。【小林哲夫】
毎日新聞 2010年2月1日 地方版