米国の年次改革要望書を拝聴」
2007年10月24日
だいたい10月になると毎年恒例の「年次改革要望書」というのが、米国から日本国へ提出される。これは、正式は「「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)」といって、本年度分は、
2007年10月18日日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書
ということであります。
「年次改革要望書」が結構有名になったのは、小泉政権時代の「2004年10月14日日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」でしょうか?うちも、
【政治】小泉政権のカンニングペーパーというかアンチョコ 2005年06月02日
【政治】ネタバレ!小泉政権のアンチョコ 2005年06月03日
ということで記事にしています。
これちょっとおもしろくて、この「年次改革要望書」というのは、毎年でるのだけど、なぜか大手新聞とかマスメディアはとりあげない。米国はちゃんと公開しているのだけど、なぜか、あまりとりあげない。
それで、これこそ「ネット」がとりあげるようになって、世間にしられつつある・・・という段階なんですね。つまり、世間の人はほとんどしらないとおもってもいい。
この「年次改革要望書」というのは、米国が日本に要望するのだから、原文は英文です。ただし、しばらくすると米国大使館でも、外務省も和訳してくれるのですが、ことしの2007年版はまだ、翻訳されていません。英語使いの北岡記者がいたら、さーっとでも訳してくれるのだけど、なにしろ米国留学の経験のあるボスが「うん?ちょっと今、体調わるいから横文字読むきしない。北岡に訳させろ」ですから、どないしょうとかとおもっていたら、うちの強力なリンク先の或る浪人の手記さんが、翻訳してくれていました。
拍手をおくりつつ紹介
2007年版「年次改革要望書」超適当訳
これまでどういう「要望がされてきたか」については、
アメリカ政府から日本政府への要望書(仮和訳は在日米国大使館による)
2001年10月14日 - 英文、(仮和訳)(同PDF)
2002年10月23日 - 英文、(仮和訳)
2003年10月24日 - 英文、(仮和訳)(同PDF)
2004年10月14日 - 英文、(仮和訳)(同PDF)
2005年12月7日 - 英文、(仮和訳)
2006年12月5日 - 英文、(仮和訳)
があって、郵政民営化で注目された2004年10月14日版もちゃんと、仮ですが日本語に訳されています。
それでこうした「要望書」がきて、日本でどういうことがおきたか?というと、郵政民営化もそうですが、だいたい、以下になります。
1997年 独占禁止法改正・持株会社の解禁
1998年 大規模小売店舗法廃止、大規模小売店舗立地法成立、建築基準法改正
1999年 労働者派遣法の改正、人材派遣の自由化
2002年 健康保険において本人3割負担を導入
2003年 郵政事業庁廃止、日本郵政公社成立
2004年 法科大学院の設置と司法試験制度変更
2005年 日本道路公団解散、分割民営化、新会社法成立
2007年 新会社法の中の三角合併制度が施行
そして、今年は何を要望してきたでしょうか?
ということなんですが、とりあえず或る浪人の手記さんが、翻訳してくれた2007年版「年次改革要望書」超適当訳をよんで、それから次も読んでみてください。
追加:2007年度版「年次改革要望書」、「医療機器と医薬品」部分和訳
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シュワブ米国通商代表、日本の改革路線の継続を要望 − 日本政府に規制改革要望書を提出
米国通商代表部
2007年10月18日
ワシントンD.C.
米国通商代表部は本日、ビジネス環境全般の向上、日本市場における革新的企業の競争力の強化、および米国の輸出業者のビジネス機会の拡大を目的とした広範で詳細な規制改革要望書を日本に提出した。
本日、東京で開催された日米貿易フォーラムの会議冒頭で、ウェンディ・カトラー米国通商代表部代表補(日本・韓国・APEC担当)は、米国政府の要望書を日本政府に提出した。
スーザン・C・シュワブ米国通商代表は、「米国は、日本が経済改革と市場開放を一層進めるという方針を引き続きを堅持するよう期待している。これは日米双方にとって有益である」と述べた。「これらの具体的な改革措置は、コストを削減し、効率性を向上させるほか、日本の全国民の利益となるような新しい革新的な製品やサービスの開発を促すことによって、成長と機会の拡大に貢献するであろう」
今年の要望書で特に重点的に日本に求めているのは、医療機器および医薬品分野で技術革新を支援するさまざまな政策を実施すること、そして、新しい日本郵政グループ各社が民間企業と競合するすべての市場において、平等な待遇を受け、効率的な競争が行われることを確保するための措置を講じることであった。さらに、銀行における保険商品の窓販の完全自由化を予定通り実施し、消費者の利便性の向上を図るよう求めている。
米国の要望書には、さらなる進展が求められる分野に加え、新たに議論を行う分野が含まれている。要望書は全体として包括的な内容になっており、無線分野の製品とサービスの競争促進と利便性の向上、医療のIT化の効率的実施の確保、個人が将来に備えて行う投資のより効率的な手法の確保、公共事業の談合防止、株主に対する経営側の説明責任の促進、すべての利害関係者にとっての規制手続きの予見可能性と透明性の向上、日本の流通分野のコスト削減を実現する措置が含まれている。
この要望書は、日米規制改革および競争政策イニシアティブ(規制改革イニシアティブ)の下に提出された。規制改革イニシアティブは、競争政策や知的財産権などの幅広い分野に関してのみならず、通信や医療関連分野など特定の業界の具体的な問題に関しても、日本と協議する場を提供している。
今年で7回目となる米国の要望書の提出によって、数カ月にわたる作業部会および上級部会での協議が始まり、最終的には、各年の進捗状況を文書にまとめた両国首脳への年次報告書を作成する。規制改革イニシアティブは、2001年に設置された「成長のための日米経済パートナーシップ」の下で日本と協議を行うための基礎としての役割を引き続き担っている。
規制改革要望書の要点と詳論は、米国通商代表部のウェブサイト(http://www.ustr.gov/)に掲載されている。
貿易フォーラム
カトラー代表補は、東京において、日米貿易フォーラムで共同議長を務める外務省の小田部陽一経済局長に要望書を提出した。貿易フォーラムでは、両国政府は2国間の貿易に関するさまざまな問題を協議している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ということです。
これだけおもしろい内容なのに(内容そのものでなくて、存在自体)、なぜ、マスコミは報道しないのでしょうかね?
・・・・・・・
で、この「存在」について一生懸命研究して、発言したりしたのが植草一秀さんとか、関岡英之さんとか、城内実さんとかなんですね。本当いうと、うちのボスは、植草さんに、この「存在」をおしえてもらったそうです。
・・・・・・・ま、この辺は、誰かにまかせた!オレの手にあまる。
(未完のママ)
文責:ABC記者
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トラックバック一覧
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1. 2007年度版「年次改革要望書」、「医療機器と医薬品」部分和訳
- [或る浪人の手記]
- 2007年10月25日 08:29
- 小泉内閣における「カイカクの本丸」が「郵政民営化」ならば、安倍政権、そしてそれを引き継いだ福田政権に対しても、強欲なアメ公は「カイカクの本丸」を与え、実行するよう指示していると考えるのが常道だと言えます。
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2. カリフォルニアインフェルノ被害総額1.2兆円以上
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3. カリフォルニアインフェルノ被害総額1.2兆円以上
- [米流時評]
- 2007年10月25日 16:20
- ||| カリフォルニア大火被害1.2兆円以上 ||| カリフォルニアインフェルノ被害1.2兆円 カトリナ以上の大災害に 米国時間2007年10月23日 | カリフォルニア州サンディエゴ発 | 『米流時評』ysbee訳 【カリフォルニア・インフェルノ第2報】21日日曜に出火した...
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4. 米国の日本に対する「年次改革要望書」に関する最新情報
- [成功者への道 Live with Passion!]
- 2007年10月27日 16:28
- 以前、『拒否できない日本』という本についてエントリーした際に触れた年次改革要望書の最新情報について、オフィス・マツナガさんがレポートしてくれていましたので、ご紹介します。 リンク先→こちら それにしても、郵政民営化をはじめとして、日本はアメリカの言い...
コメント一覧
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- 2007年10月25日 05:05
- 批判のための、批判か?
批判していない。
批判にもなっていない。
だろうに・・・・ kkkさんよ。
あんたは、先回りしすぎ。
もっと、真正面から批判してほしい。
そういう意味で、大変に不満足。
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- 2007年10月25日 11:21
- kkkさん、明らかに「内政干渉」ですよ。
日本人は昔から農耕民族ですから働いた富を蓄える民族です。その社会秩序が保たれて、その習慣でやってきて、何か不都合がありますか?日本人社会は、他人が構築した富を奪うことで社会が成り立っているアングロサクソン社会とは全く違います。
そうなりたい人だけその国に行けば済みます。米国型の社会の押しつけがグローバルスタンダードと思っている人は、米国に行けばいい!お金持って入るんでしょ?その社会を味わうと良い!米国民の1%に入った人だけが富のほとんどを握る社会だから・・・
これに入れない人は悲惨ですよ、保険料も高額でランクを下げざるを得ないし、下げるとまともな医療は受けられません。
米国が安保を餌に、「年次改革要望書」をもって日本の社会制度を米国企業の利益になるように組み替えしようとしている。この事に対して、従順なことが問題なんです。
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- 2007年11月10日 17:57
- 平成19年10月18日付で発表された、今年の年次改革要望書についてです。
【日本の外務省プレスリリース】
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h19/10/1175773_814.html
英語と経済に詳しい方、下記の原文を【是非とも直訳調で日本語訳】、そして解説をお願いします。
【米国通商代表部(USTR)、在日米国大使館】
http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20071022-50.html
http://www.ustr.gov/assets/Document_Library/Reports_Publications/2007/asset_upload_file751_13383.pdf
【公式訳ではダメな理由】
原意を間違えて日本語を曖昧にするために、遅れて発表する公式発表は信じられないという声がある。
↑実例:urge(強く迫る、急き立てる、強制する)を、公式訳は[求める](demand)の意味で捉え、原意を弱く表現した。
↑ちなみに、urge は、35回も使用されている。
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- 2007年11月10日 20:24
- >urge は、35回も使用されている。
ありがとうございます。
ボスにつたえます。
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- 2007年11月23日 03:03
-
年次改革要望書だけ見ると、その危険性
が分かり難いかも。
日米投資イニシアティブ報告書も取り上げてはいかがでしょう。
もっと具体的でえげつないことが堂々と
書かれていますから。
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- 2008年03月17日 01:47
- 1999年 労働者派遣法の改正、人材派遣の自由化
とありますが、この内容は何年度のものに書かれていますか?
教えてください。
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- 2008年04月02日 09:57
- >>6
1月28日にNHKで日米同盟を特集していましたね。ココに出てきた、ACCJ(在日米国商工会議所)の会頭が、アヒル会社ことアメリカンファミリーの副会長とのこと。番組に出てきた哀れな同級生は、年次改革要望書を知らないという恥さらしを全国にむけて発信した。
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- 2008年07月10日 13:44
- 【年次改革要望書(平成19年10月18日)の報告書(プレスリリース一部訳)】
1.
She(Susan C.Schwab) also 【urged】 Japan to 【devote】.
スーザンCシュワブは、日本に《貢ぐ》ように《強要》した。
《注釈》
devote = 金などをささげる、財産などを献納する
urge = 急き立てる、強要する
2.
Ambassador Schwab said,"I look to Japan to take 【quick】 action to 【fully】 "
米国通商代表部のシュワブは言った。
『私は日本に対して注文を付けた。この問題について、《さっさと》行動を起こせ!と《完全に》決心しろ!と。』
【ファクト シート】(Overviewより一部訳)
continue to 【strongly encourage】(= urge) Japan
日本に、《強く仕向け》(=強要し)続けよ。
《注釈》
encourage = 人が人に事を更にするように、仕向ける
強く仕向ける、つまり、強要するという意味合いとなる。
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- 2008年08月05日 21:21
- 存在だけでなく、内容もおもしろいです。
2006年の、parking spaces は、なるほどと思いました。
最近、短時間の駐車場が増えてきたな、と思っていたら、
こんなことまで、要望されていたわけですね。
笑っちゃいました。
そこで、考えました。
日本を相手にしないで、アメリカでロビー活動をしてみてはどうかなと。
アメリカ企業に1円もやりたくないってあんたが思ってるのは伝わってきたが、消費者にすれば安くていいものであればアメリカの保険会社だろうがなんだろうが利用するし。
他の年度のも見たけど、ごくあたりまえのことしか書いてない。
アメリカにとってプラスになるであろうことを要求してるってのはわかるけど(当たり前だ。)、それはwinwinの関係を強調して文章化してるわけだし、その言い分が不当とも正直思わない。
なんというか批判のための批判だね。
日本の保険会社とかみたいに不払いで当たり前とかやってるとこは外圧で一回つぶれるといい。