”宇宙戦艦ヤマト復活篇”おそまきながらの報告書・その8

キャラクターシート創りと平行して原画作業も進んでいた。
3Dの関係上(艦橋内は全て3D)、3D打出しを待っての作業であったため、、初めの2、3ヶ月は原画作業が遅れ気味となっていた。
最初、西崎さんに「総作監は大変だから、作監を3人つける」と言われ、私は作業が2重、3重になることを嫌い、一人で頑張ることで解決すると思い「私はひとりでも大丈夫です。」と言った話は以前にもしたのだが、事態がそのように動いていくことになってしまう。


総作画監督の仕事も動き始めて来た頃、全体的な作画の上りの悪さに不安を感じていたのか、焦りがあったのか、突然「作画監督の原画はそのまま動画に出せ!」と言い出した。
(作画監督も原画を担当していたので。)
驚いたのは、その場にいたスタッフで、単に数十カットなのだが、不安なスタッフはそのカットが動画出しされるまでの時間に「湖川さんお願い!出す前に手を入れて!」の声。
出来るものはチェックを終わらせた。
しかし、1日、2日程度でのチェック量は知れたものだった。
(後々、直しを入れてあります。念の為。)


その後、現場が多少なりとも流れが出来てきた矢先に、次の発言。
「作画監督にチェックでまわっていく時間が無駄だ!直接、総作画監督にまわせ!」と。
それ以降、私が総作画監督と作画監督の兼任作業となった。
「宇宙戦艦ヤマト復活篇」は、A.B.C.D.Eパートに仕分けをされていた。
私はこの発言をAパートのみのことと捉えていたのだが、誰の意見もなく、私はその形で耽々と仕事をこなしていた為、Aパートオンリーではなく、最後までこの形が続くことになった。
作画監督は担当原画を上げる作業のみとなる。

「ヤマト」の場合だからなのか、エンディングタイトルがそれ程正確なものにはなっていないのは、こう言った原因と思える。
「さらば宇宙戦艦ヤマト」でも、私はエンディングタイトルを見て初めて知ったことがある。
私の補佐で作画監督として数名、名を連ねていたからだ。
作画打ち合わせでも紹介もされていない事実と、作画監督の修正の入った原画も見たことのない事実。
ともあれ、「ヤマト」の現場は我の外で動いていた気がするし、私は第三艦橋にしがみついていただけかも知れない。


良し悪しは別として、当初、私が考えていた状況になった。
なってしまったと言った方が現実だろうか。

アマールの女王イリヤの話もしておこう。
第一稿ラフデザインのままにOKとなり、作業が進んでいたイリヤとパスカルだが、例によって「イリヤはイラン人で、参考の写真もある」とネット上にあるイラン人の写真を渡された。
またか…と思いながらも、それを元にデザインを終え、イリヤ、パスカル共にOKを貰い、私のこだわりから色チェックまでして、色相修正もしていた。

しばらくして、色チェックの時「このキャラは、まだ見てないのに、何故色がついてるんだ!」と西崎さん。
「いえいえ、西崎さんのOK出てないものは、色を入れません」と制作。
「今のイランの女王にしろ!」と。
当然だが、イランに王制はなく、はるか昔の資料を紐解くことになり、結局、デザインからやり直すことになってしまった。
冠にドレス等、過去のデザインのままとはいかないので、私風にアレンジをした。
顔は、再デザインとは言われてもいないので、それ等に合うよう、私の勝手な顔を添えておいた。

ところが、チェックを受けた時、「その顔がいいな」と。
また、今までの作業が全て無駄になった。
再度、デザインをし直し、色も最終的に私が修正したものにOKが出た(イリヤに関しては3度目のOKである)。
現在のイリヤ女王である。

それでも総作画監督作業は続いていく。


小林、その他のキャラクターの変化は、おそまきながらの報告書9に描きましょう。

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わたしのブログにて・・・

以前、やはり復活編の制作の関わった方のブログで
古代進は紆余曲折を経て宇田川キャラでいく事に
決定と書いてあったのを思いだしました。
という事は古代のキャラデザインも途中で変更が
あったと言う事でしょうか?
また作画作業における役割分担は、どうなって
いたのでしょう?

No title

湖川さま

自分の会社でもそうですが、どこにでも君主という人は居るもので
弊害は相当あるのですが、全体を導くという意味では必要な存在かとも思っています。

但し、作業の中身の詳細までは口出しせずに方向性とプレッシャーだけを与えるから成り立つ訳で、まさに思いつきで指示を出している印象ですね。

外から憶測で批判をするのはそれぐらいにしまして
今回のヤマトで一番気になった部分、それは第一艦橋の正面パネル上での通信相手の表現です。

さらばの時にはズォーダーとかの顔も斜めに作画されていたので、子供心に『こだわっているなー』と思え感動したのですが、確か今回はさらば以降のシリーズと同様、普通に表現されていたと思います。

今回は湖川さまが総作画監督をなされていたので、『さらば』風の表現を期待していたのでちょっとがっかりでした。

3D元年とも呼ばれている昨今、将来的にはヤマトの正面パネルも3Dとなっているとして2D表現を廃止したのか、それとも作画の制約で表現出来なかったのか、差し障りが無ければゆくゆくは触れて頂ければと思います。

真帆はラストでどうなった

またまた湖川さんに質問です。
映画のラストで、ヤマトの第3艦橋が半壊してしまいましたが
真帆を初め電算室のメンバーは、全員死亡したでしょうか?
それとも気絶してるだけ? 映画を見る限りどちらとも取れる
描写だったんで気になっています。
いったいどちらなんでしょう?

No title

技術的なことはわかりませんが、コンピューター画像とセルアニメーションの共演というとなんとなく違和感を覚えますが、
第一艦橋、最高な映像でしたねえ^^

なんというか、第一艦橋での発進プロセスを観させていただいただけですでに新生ヤマトの凄さというか感動でした^^


中西君は口を開けば〜、という場面の真帆嬢といい、
大村さんの登場から古代艦長のスクリーンいっぱいなカッコよさ^^

しびれちゃいましたねえ^^

すみません、大変なご苦労を知らずにただ感激しっぱなしでしたーー、、

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