【ロサンゼルス=堀内隆】大地震に見舞われたハイチで1月30日、被災した子ども33人を連れて隣国のドミニカ共和国に出国しようとした米国人ら10人が、警察当局に逮捕された。AP通信などが伝えた。ハイチ政府は、地震後の混乱に乗じて子どもが人身売買される恐れがあるとして規制を強化したが、10人は必要な手続きをせずに連れ出そうとした疑いがあるという。
同通信によると10人は「ハイチ孤児救援ミッション」という名の団体を組織。米CNNは、うち少なくとも6人が米国人で、アイダホ州のキリスト教会関係者が含まれていると伝えた。生後2カ月から12歳までの33人の子どもをバスに乗せ、29日夜に陸路で国境を越えようとしたところを警察に止められた。ドミニカ共和国に孤児院を設営し、養親になる人を探す計画だったと話しているという。
ハイチでは地震後、養子縁組のために子どもを出国させる際は首相の承認が必要になったが、団体のリーダーは手続きを踏まなかったことを同通信に認めた。一方で「司祭から子どもを預かった。善意でやったことで、お金も払っていない」と人身売買へのかかわりは否定した。
ハイチでは地震前から、ハリケーンなど相次ぐ災害で多くの孤児がいたが、今回の地震で親と死に別れたり、離ればなれになったりした子どもが急増。欧米のキリスト教会関係者を中心に養子縁組の動きが活発になっている。
ただ、孤児であるとの確認が不十分なまま国外に連れ出されているケースもあると指摘され、人身売買が疑われる情報も飛び交っている。