☆ 美容院 (PARRUCCHIERE)

先週の土曜、約3ヶ月ぶりに行った美容院には、去年の夏ごろから通い始めました。友人に紹介されて行くようになったこの美容院は、ちゃん とハサミを使って髪を切ってくれるから私としては気に入っています。これって日本じゃ当り前のことだけど、イタリアではハサミを使って髪 を切る美容院は当り前というほど多くはないんです。

ちなみに、イタリアは美容院も日曜はお休みで、平日の営業時間は一般の商店とほぼ同じ。平日働いている私は、どうしても土曜日しか髪を切 り行けないことになります。平日は夕方6時には受付を閉めてしまうから、会社帰りでは、とても髪を切りに行く時間なんかないわけです。

ミラノ市内の至るところにある、とある美容院のチェーン店へは、値段が安いから何度か通ったことがあるけど、ここ電気バリカンで髪を切る んです。いや、最初から電気バリカンが登場するわけではなくて、まず長さを切り揃えて、段カット(って最近はいわないと思うけど)を入れ るのに、電気バリカンが”ジィジィジィー”という音を立てて華々しく登場。なんとなく、子供の頃、母親に家で髪を切ってもらっていたのを 思い出す懐かしい音。長さを揃えた髪に電気バリカンを当てるだけだから、時間はかからないけど、なんとなく美容院にいった気がしません。 時間の問題だけではなく、電気バリカンだったら技術もあまり必要ないような気がするので、わざわざお金を払ってまで切ってもらいに行く気 になれないんです。自分でも出来るような気までしてきてしまいます。

ところで、ミラノで見掛ける金髪のイタリア人女性達。あれは実は”ニセ金髪”が殆どだって知っていましたか。イタリア人で地毛が金髪とい う人は、殆どいません。あれは金髪する為に色を抜いているんです。その昔、ヴェネツィアではヴェネツィア金髪という金髪があったんだとか。 これは、髪にドロを塗って、太陽の日にさらして色を抜くという方法。今でも、イタリア人女性達は、金髪に憧れて”ニセ金髪”にしている人 が殆どです。でも、日本人とは質が違う彼女達の髪は、太陽の日を当て続けると色がだんだん抜けてきて金髪になるらしいのです。これを人工 的に行う方法を、イタリアでは”colpi di sole(コルピ ディ ソーレ)”といいます。これは、髪を少しずつすくって、すく った髪に脱色用の液を付け色を抜く、または染色剤を付けて色を付けるという方法。太陽の日差しを浴びた様に全体にメッシュを入れる方法で、 とっても自然な仕上がり。だから、まさかニセ金髪とは思っていなかった友人も、蓋を空けてみれば贋物だったということもあります。それく らい、イタリア人女性は金髪になる努力をしているんです。

今回、私は髪をカットとコルピ ディ ソーレをしました。脱色ではなく赤のメッシュを入れてみたのですが、後ろから見たらイタリア人、と 友人達にはからかわれています。金髪だけではなく、街を歩いていると様々な髪の色をした人達を見かけますが、彼女達の殆どが髪を染めてい ます。自宅で染める人も多いようですが、自然な仕上がりのコルピ ディ ソーレをするにはどうしても美容院に行く事になるわけで、土曜はいつ も美容院は予約で一杯です。

言葉が足らないと、美容院へ行くのも勇気がいります。もし説明を間違って変な髪形にされたらどうしようとか考えると、なかなか美容院に行 けないものです。”2cm切って下さい。”と自分では言ったつもりだったのに、2cmにされてしまったという友人(男性)もいました。イタ リアで髪を切る気にならないと、日本へ帰った機会に思い切り短く切って戻ってくる友人もいます。私もついつい臆病になって、髪を伸ばしっ ぱなしという時期が長いことありましたが、ここ暫く、日本の美容院にはご無沙汰しています。