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PJ: 徳島 達朗

アジア映画上映と市民フォーラム=福岡アジア文化賞20周年記念
2010年01月28日 15:07 JST


市民フォーラム「スクリーンを通してみたNIPPON」に登場した人々。(撮影:徳島達朗、1月27日) 

【PJニュース 2010年1月28日】1月27日、福岡天神IMSホールで、福岡アジア文化賞20周年記念行事として、大賞受賞監督の映画上映と監督を交えたフォーラムが開催された。映画の参加者は200名満席。

映画は二本で、2008年、第19回福岡アジア文化賞大賞受賞のアン・ホイ監督(香港)の「生きていく日々」と1999年、第10回アジア文化賞大賞受賞のホウ・シャオ・シェン監督(台湾)の「珈琲時光」である。

アン・ホイ監督の「生きていく日々」は、香港の日常を描写した作品で、第22回東京国際映画祭(2009年10月17日〜25日)で上映されたものである。何気ない日常生活を淡々と描いているが、そこに落とし穴が隠されているようで、そうでもない。しばらく見ていて納得し落ち着く映画だ。意欲的な手法だ。

ホウ・シャオ・シェン監督の「珈琲時光」は、小津安二郎生誕100周年のための作品で、2004年制作の東京を舞台とした作品(松竹)である。神田神保町古本屋、御茶ノ水の交差する電車、都電荒川線、路地と私の懐かしい東京の記憶が甦り、好感が持てた。制作意図は「珈琲を味合うときのときのように気持ちを落ち着け、心をリセットし、これからのことをみつめるためのひととき」を表現したものという。

フォーラムに登場したのは、コーディネーターとして、石坂健二氏(東京国際映画祭事務局、アジアの風プログラミングディレクター)、ホウ・シャオ・シェン(侯孝賢)監督(台湾)、アン・ホイ(許鞍華)監督(香港)、宇田川幸洋氏(映画評論家)である。

トピックとしてはつぎのようなことが語り合われた。

80年代に台湾・香港のニューシネマ、ニューウエーブが登場する。日本の場合、東アジアのニューウエーブが、大陸のものに先行して入っている。福岡市総合図書館のフィルムライブラリイはすばらしい。アン・ホイ監督のデビュ―作品は香港には無くて、福岡にしかない。貴重である。

ホウ監督の子どもの頃、見た日本映画は、「三日月童子」(東千代介)、「丹下左膳」、「宮本武蔵」、「モスラ」、「四谷怪談」、「君の名は」、「三百六十五夜」など何でも観た。当時、東南アジアの町には日本映画直営館があった。今より、交流は盛んだった。宝田明は香港で人気があった。

若い頃、小津作品を見るように勧められみたが、退屈で眠くなった。次第に良さが分かってきたが若いときは理解できなかった(ホウ)。
サイレント映画の小津作品「生まれてはみたけれど」を見て変わった(ホウ)。
黒澤ファンだった(アン)。
72年に大学で勉強をはじめると小津作品を観ろと勧められたが、自分としては溝口の方が好きだった(アン)。
溝口、小津はフランス、アメリカで評価されアジアには遅れて入ってきた(宇田川)。
現在では、ホウさんは台湾の小津と言われており、アンさんの「生きている日々」は、まさに小津の世界ですね(宇田川)。

予定されていた時間が尽きても話は尽きなかった。【了】

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