産経は14日の平成18年分の政治資金収支報告書公開(総務省届け出分)に合わせ、15日の政治面で民主党の小沢一郎代表の4つの政治団体と、関連2政治団体の資産が、繰越金と不動産だけで31億4246万円余に上ることを取り上げました。献金と政党助成金などで、よくもここまで貯まるものです。他にはこんな政治家はいないでしょうね。さすが「生活が第一」をスローガンとする政治家だけのことはあります。
で、例によって紙面ではスペースの限界や、あまりあいまいなことは書けないという制約があるので、本日はちょっとその補足をし、気付いた点を書きたいと思います。ただ、私は本当にお金の問題にうとく、自分の財布の管理もままならない人間なので、正直なところいくら政治資金収支報告書とにらめっこしても、よく分からないことが多いのです。すいません。
まず、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の繰越金は、6135万円で、前年より大幅に減りました。理由は、陸山会が小沢氏への借入金を2億2800万円ほど返したためとみられます。小沢氏は平成16年10月になぜだか陸山会に4億円を貸し付けており、18年中には約237万円の利子を受け取っています。陸山会は、都内の一等地などに10億2000万円相当の不動産(名義は小沢氏)を所有しており、どうして小沢氏からそんな巨額の借金をする必要があったのかはよく分かりません。4億円もの大金を貸せる政治家というのも驚きですが。
それで、この陸山会は小沢氏の政治団体である小沢一郎東京後援会など3団体に所有不動産を賃貸しており、年間444万円の家賃収入を得ています。その上で、18年中には小沢一郎政経研究会から5000万円、小沢一郎東京後援会から1000万円の寄付を受けていました。これも小沢氏に借金を返すためだったのでしょうか。民主党岩手県第4区総支部からも5000万円の寄付を受けているのですが、それでは足りなかったということでしょう。世田谷区に3億6500万円相当の「秘書の寮」など建てるからですね。
次に、小沢氏の政治団体「誠山会」はとみると、これも繰越金は1億3735万円もあるのに、小沢氏の関連団体の改革フォーラム21から1100万円、小沢一郎政経研究会から2000万円の寄付を受けています。改革フォーラムは、小沢事務所によると、「関係はあるが小沢の政治団体ではない」という位置づけです。もとは小沢氏が代表幹事を務めていた新生党の政治団体で、現在は小沢氏の側近である平野貞夫元参院議員が会計責任者を務めています。収支報告書の責任者名のところには、いったんは樋高剛と書いてあり、訂正して平野氏としてありました。樋高氏は元衆院議員で小沢氏の元秘書ですね。
そして、この誠山会は、小沢一郎東京後援会に1000万円の寄付をしているのです。小沢一郎東京後援会は、誠山会から寄付を受けた1000万円を陸山会に寄付したのでしょうか。何だかよく分かりません。
じゃあ小沢一郎東京後援会の繰越金はいくらかというと、2706万円でした。上で述べたように誠山会から1000万円の寄付を受けたうえで、陸山会に1000万円寄付し、また小沢一郎政経研究会からは2000万円の寄付を受けていました。とても複雑です。
その小沢一郎政経研究会の繰越金は2134万円なのですが、ここが18年中に陸山会に5000万円、上の小沢一郎東京後援会に2000万円、そして誠山会にも2000万円の寄付をしているのです。誠山会は小沢一郎東京後援会に1000万円寄付していたことを考えると、だんだん頭が混乱してきます。最初から陸山会に6000万円寄付すればいいように思うのですが、こういう手順を踏む何らかの理由があったのでしょうか。
さて、新生党の流れをくむ改革フォーラム21はというと、繰越金は一気にふくらみ、6億9262万円にも上ります。その改革フォーラム21が誠山会に1000万円寄付しているのは分かるのですが、なぜか改革国民会議から1500万円の寄付を受けているのです。何の必要があるのか。改革国民会議とは、もともとは小沢氏が党首だった自由党の政治団体で、先日のエントリで書いた通り、平成15年9月26日の自由党解体当日に自由党から13億6816万円の寄付を受け、故松岡利勝元農水相から国会で「政党助成金の返還逃れではないか」と追及されたところです。小沢事務所はここについても、改革フォーラム21と同じく「小沢自身の政治団体ではない」としていますが、永田町で本気でそんなことを信じる人はいないでしょう。
ちなみに、改革国民会議も平野氏が会計責任者で、改革フォーラムと同様に訂正印の下には樋高氏の名前がありました。そしてここの繰越金はなんと11億8354万円にも達しています。ずっとお金をプールしているということでしょうが、何に使う気なのか使う気はないのか。いやはやなんとも…。
小沢氏にはこのほか、岩手県内に、岩手県選挙管理委員会に届け出てあるたくさんの政治団体(花巻後援会、一関後援会、胆沢町後援会…etc)があります。陸山会の収支報告書には、水沢市の小沢一郎暮らしと政治研究所への寄付1110万円という記載もありましたが、県選管の18年分の収支報告書公開はまだなので、そっちのお金の動きは分かりません。なかなか全部を把握するのは大変そうです。何のためにこんなに複雑なことをやっているのでしょうか。
余談ですが、収支報告書を見ていて、興味深い名前を見つけました。改革国民会議の支出欄には、「講師料50万円 勝谷誠彦」と記されていました。この人は日頃から小沢シンパであることを公言していますから、さもありなんですね。また、小沢一郎政経研究会の報告書には、「講演謝礼50万円 森田実」とありました。こっちもときどき目にする言動を考えると納得がいきます。
…1週間後には福田康夫自民党総裁が誕生し、福田氏が首班指名を受けて首相になると。で、福田内閣が短命に終わると、小沢首相となるのでしょうか。わが国のことながら、もう好きにしてくれ、という感じです。かつて村山内閣のころ、新聞の政治面を一切読まなかったということがありましたが、社会部員だった当時と違い、今は政治部員ですから、そういうわけにもいかないし。…今朝の産経1面の握手をする福田氏と麻生氏の写真をごらんになりましたか?福田氏の特徴をよくとらえた傑作でした。
by leny
「日本解放第二期工作要項」に…