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「アニメを観光資源に」東京都が世界に情報発信
海外で日本のアニメがブームになっていることから、東京都は日本アニメに関する情報を世界に向けて発信することを決めた。将来的にはガイドブックを海外配布するほか、作品の舞台となった街の“史跡化”を進め、「聖地巡礼ツアー」として海外観光客を呼び込みたい考えだ。平成22年度予算案に調査費300万円を計上した。(宮原啓彰)
ユーチューブやニコニコ動画などインターネットの動画投稿サイトの普及で、近年、多くの日本アニメ関連動画がネット上に流れている。
これにあわせる形で、日本のアニメ文化の海外での認知度も急速に上昇。人気も高まっており、例えば、フランスで行われる日本アニメイベントの参加者が平成12年は3200人だったのに、昨年は16万5500人と50倍まで急増している。
また、外国人観光客で訪日理由にアニメなど日本のポップカルチャーを挙げた人は伝統建築や温泉などに続いて、フランスでは5位、米韓では6位(20年調査)に食い込み、新たな観光目的になっている。
実際、女子高生の日常を描いた人気アニメ『らき☆すた』の舞台である埼玉県鷲宮町をはじめ、『新世紀エヴァンゲリオン』で戦いの舞台となった神奈川県箱根町、『true tears』の富山県南(なん)砺(と)市などには外国人観光客を含めた“聖地巡礼者”が押し寄せる現象も起きている。
都はこれまでも国際アニメフェアなどを主催してきたが、「通年でアニメを観光コンテンツに活用していなかった」と都幹部。「都内には日本のアニメ制作会社の約8割が集中し、スタジオジブリの『耳をすませば』の舞台となった多摩市や、松本大洋さんの『鉄コン筋クリート』などの作品ロケ地である吉祥寺など多くの観光資源が埋もれている」と言う。
都は、ロケ地の情報提供などを担うフィルムコミッションと協力して、都内に実在する町がアニメの舞台となるように制作者に働きかける方針。同時に都内に実在するアニメの舞台を整備して史跡化し、秋葉原や中野など関連グッズの販売店が集中する街とつないだツアーを海外の旅行業者に売り込むとしている。