【コラム】国の運勢を変える韓国だけのノウハウ(下)

 単に富の規模だけをみれば、韓国は世界でトップクラスとは言えない。国内総生産(GDP)は世界15位で、一人当たりの所得を基準とするとまだ50位前後だ。それでも開発途上国は韓国に注目し、韓国について学ぼうと必死だ。それはなぜだろうか。

 まず韓国には彼らと同じように、「何もないところから出発した」という共通点があるだろう。文化観光部の幹部は「アジア諸国は日本よりも、韓国の経済発展ストーリーにはるかに大きな関心を持っている。19世紀末にはすでに列強となっていた日本は、最初からある意味別世界だった。しかし韓国は、まだお手本にすることのできるモデルがある」と語る。

 もう一つは、韓国の経済成長が非常に短期間で実現したという点だ。将来の繁栄のためには現在の苦痛に耐えなければならず、ある程度の時間と資金も費やさなければならない。しかし100年後、あるいはその後になって結実すると言われても、すぐに動き出すことはできない。子供の代に徐々に裕福になり、孫の代には状況が大きく変わるという期待が持てるときに、「よし、頑張ってみよう」という覚悟が生まれる。半世紀前にわれわれの父親の世代が抱いていた決意だ。その決意は実践に移され、「漢江の奇跡」を成し遂げた。

 われわれは他国からの援助を受けて経済の土台を築き、今ようやく他国を支援できる国となった。現金や物資の支援だけではない。われわれは今も他国を支援するため、簡単に巨額を出せるような状況にはない。第2次大戦後に独立した世界140カ国のうち、60年で先進国の一歩手前にまで到達した経験を共有すること自体が、開発途上国にとっては切実な願いだ。このような支援を実践すれば、経済協力も活発になり、その過程で韓国企業により多くのチャンスが与えられるかもしれない。

 第2のコリアンドリームを夢見る第3世界の国々に、「2世代で国の運勢を変える」ノウハウについて、韓国というブランドの下でマーケティングを行う必要がある。また、今年は庚戌国恥(日本による韓国併合)から100年、韓国戦争(朝鮮戦争)から60年目という節目の年でもあることから、韓国の現代史を振り返る数々のイベントも企画されている。開発途上国に韓国のお手本を示す、まさに絶好の機会と言えるだろう。

金昌均(キム・チャンギュン)政治部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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