現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 災害・交通情報
  5. 記事

停止新幹線から客降ろさず JR「安全な避難は困難」

2010年1月30日7時35分

印刷印刷用画面を開く

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

デザイン:  拡大  

図:  拡大  

 東海道新幹線で29日起きた架線切断事故。駅間に停車した5本の列車内に計約3100人が3時間以上も閉じこめられるなど週末の移動に大影響を及ぼし、乗客からは憤りの声が相次いだ。JR側は「新幹線は乗客の安全な避難誘導が難しく、事故時も原則降車させない」と説明する。

 今回の事故では、品川―新横浜間に1本、新横浜―小田原間に4本の新幹線が停車。新横浜駅にも1本が止まった。品川―小田原間は停電で動かせず、この6本が他の列車の「障害物」になった。

 送電できていた東京駅や小田原以西の列車が通過できなくなり、新大阪駅までの東海道全線が運転中止に。山陽区間(新大阪―博多間)もダイヤは大幅に乱れた。

 JR各社によると、新幹線では、乗客を降車させた例はほとんどない。高架を走ることが多く、在来線と比べて駅間も長い。乗客も多く、運転士と車掌だけでは対応できないためだ。

 大災害で復旧の見通しが立たない場合や、乗客の安全確保が極めて容易な場合には例外的に降車させることもある。2004年10月の新潟県中越地震で上越新幹線「とき325号」が脱線した際、JR東日本は乗客を降ろし、線路沿いを歩かせた。脱線直後にレールが曲がるなど影響の大きさを確認。全線復旧には結局、66日かかった。

 JR東日本の東京新幹線車両センター(東京都北区)で08年9月に起きたシステム故障では、乗客約940人が約2時間にわたり車内で待機した後、降車した。この際は在来線の駅まで約1キロだった。

 今回の事故でも、駅間停車したうち1本は新横浜駅から約1キロだったが、JR東海は「運行本数が多く、1本だけ降車させても復旧は遅れる。発生から2時間足らずで復旧見通しが立ったので待って頂くと判断した」としている。

 JR東海は同日、松本正之社長(65)が4月に副会長となる人事を発表。記者会見の冒頭で松本社長が陳謝する一幕もあった。

関連トピックス

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内