血塗られた紛争が絶えないアフリカ・ナイジェリアの素顔に迫りました。
2009年末、デルタ航空機を爆破する寸前で阻止されたテロリストの出身国がナイジェリアでした。アフリカ随一の資源国ですが、血塗られた紛争が絶えません。秘密のベールに覆われたこの危険な大国の素顔に迫りました。
今もアメリカを脅かし続けるアルカイダのテロ。
2009年12月の航空機爆破テロ事件のアブドゥルムタラブ被告は、アフリカ・ナイジェリアの出身であることがわかっている。
この爆破未遂犯を生んだアフリカ・ナイジェリア。
海外メディアの取材の難しいこの国に今回、FNNのカメラが潜入した。
アフリカ大陸の西側、ナイジェリア連邦共和国。
人口1,000万人を超える南部の都市・ラゴスは、アフリカでも最大級の都市。
東京をしのぐともいわれる巨大都市に人と物が集中する。
しかし、取材中、街中で目立ったのは延々と続く車列だった。
市民は「(どうしたの?)ガソリンを買いたいんだ。ガソリンを買うたびにこんな長い列を待つんだ。(何時間並んだ?)2時間ぐらいかな」と話した。
ナイジェリアといえば、アフリカ一の産油国だが、産油国でありながら車の列が並んでいる。
これはガソリンスタンドに並んでいる車だが、ガソリンがないということで、この車の列は日常茶飯事だという。
日本の2倍以上という国土に、人口およそ1億5,000万人を抱えるナイジェリア。
1960年の独立以降、南部の一部を中心に豊富な産出量を誇る油田が多数開発された。
その産出量は、中東のイラクやクウェートに匹敵するという。
しかし、産油国でありながら、国内では恒常的にこうしたガソリン不足に悩まされているという。
さらに、ナイジェリア最大の都市・ラゴスだが、1日に何度も停電がある。
そして街中で目立つのは、いわゆる「スラム」。
市内のいたるところで、貧困が大きな存在になっているのが見えてくる。
中でも取材班は、今問題となっている中・北部へ向かった。
この地域では、数百人規模の死者を生む宗教抗争が多発しているという。
隣の州の警察責任者は「この州に平和を望まない者がいるのは、遺憾なことだ」と話した。
国民の4割近くのキリスト教徒。そして5割近くのイスラム教徒が、中・北部で混在し、暴力的な対立が発生しており、2010年になっても続発している。
ナイジェリア北部カドゥナという町のスラム街は、治安が非常に悪いという。
夜、停電となり闇に包まれたこの地域で、住民らによる自警団の巡回警備が始まった。
巡回する男性住民は「犯罪者の連中には、強盗や主婦を誘拐したり子どもを誘拐するやつもいるよ」と話した。
住民のこうした活動は、警察の治安機能が追いついていないために行われているという。
そして、北部ではさらに深刻な事態が起こっている。
そこには兵士に拘束された男の姿があった。
この男は、ナイジェリアのイスラム過激派武装組織「ボコ・ハラム」のメンバーだという。
「ナイジェリアのタリバン」とも呼ばれるボコ・ハラムは行政や治安機関、学校などの襲撃を繰り返し、軍が大規模な作戦を展開するまでになっている。
「貧困」と「治安の悪化」が一大産油国をむしばんでいる。
(01/30 00:57)