第800並列世界 封印の巫女 続・瑠璃姫編
第十一部『因縁と暗躍』
黒伽倭理化学大学付属女子高 清心寮〔ダイニング〕
丁寧に挨拶をする瑠璃姫とそれを複雑な表情で見つめる茜、リビングに妙な静寂が訪れる。
「あ、お姉ちゃんもうこんな時間だよ『リリカルほのか』始まっちゃうよ?」
そんな静寂を破ったのは紗希だった、視線の先には午後7時前をさす時計。
「お、ホントだっ!」
そう言うや否や奏は立ち上がって蒼の腕を掴んで階段を駆け上がっていった。
「な・・・なに?」
その様子を今日何度目かになる騒々しさに呆気に取られながら見送る瑠璃姫、さすがの弥生もいつもの光景ながら茜もただただ見送る
だけだった。
「あ、瑠璃さんゴメンね。今日はお姉ちゃんが楽しみにしてるアニメがあるの」
騒々しい姉の奏とは対照的に落ち着ている紗希が説明する。
「アニメ?」
高校二年生にもなってアニメの為に血相変えてテレビに向かうというのが信じられない瑠璃姫。
「あのね、お姉ちゃんってちょっと度の越したアニメ好きなの。だからHDD録画してるのに『生で見るのが良いんだよ』とか言って、この時
間帯は何が何でもテレビの前から動かないよ」
「・・・それで晩飯を急かしたのか?」
帰ってくるなりダッシュで着替え物凄く夕食を急かしたのは、単に食欲だけでなくこういった背景もあったんだな、と弥生は考えた。
「う〜ん・・・まぁ、それもあるしお腹も減ってたからじゃないかな?」
そんな時だった、二階から奏の声が降ってくる。
「おぉ〜い、紗希〜っお茶忘れた〜〜〜っ蒼の分も頼む〜〜〜っ」
本当にテレビの前から動く気はないらしい。
「は〜い、わかった〜っ」
紗希は慣れた様子で冷蔵庫から麦茶を沸かして冷やしてあったやかんを取り出すと、三つのビールジョッキにお茶を汲みお盆に載せて階
段を上がって行く。
「あのジョッキって・・・あの子達の『コップ』だったんだ・・・なにもかもが規格外だな」
今日の昼間、厨房を片付けていて見つけた女子高の学生寮には不似合いなビールジョッキの謎が解けた弥生だった。
そしてダイニングには瑠璃姫・弥生・茜・澪那の四人が残り再び妙な静寂に包まれる。
「RaumisoliertheitsmagieBewegung (空間隔絶魔法、発動)」
不意に茜が囁き、周囲の空間が今までの世界から切り離される。同じ淫魔の弥生や澪那はともかく、淫神である瑠璃姫にもその魔法の
効果がわかった、これでこの空間には外部から誰も入ってこれないしこちら側からは声は勿論姿を見られることもない。
「こんな結界式初めて・・・でも、どうして?」
弥生から茜は敵ではないと聞かされていた瑠璃姫だったが、突然自分の全く知らない結界魔法に包まれてしまったのは気持ちの良いも
のではなかった。
「万が一にもあの子達に聞かれちゃ拙いでしょ?だからですよ・・・瑠璃姫様」
「あぁ・・・なるほど」
澪那が来ているということは怪異関係の話になるだろう、確かに一般人の奏達に聞かれるのは拙い、だから瑠璃姫は素直に納得した。
「ん?瑠璃姫様、今日茜にどっかで会いました?」
怪訝そうに弥生が眉をひそめる、しかし瑠璃姫はなぜ弥生がそんな表情をするのか判らない。
「うんにゃ、奏さんに学校の中案内してもらったときは保健室留守だったし、途中でも出会ってないよぉ今会うのが初めてだよ」
そう返事をすると弥生の表情が一層険しくなる。
「ちょっと待て・・・なんで茜は瑠璃姫様のこと知ってるんだい?」
1200年以上前に封印され、つい最近まで依代神社の最奥に封じられていた瑠璃姫、その存在は当の神社を守ってきた一族の瑞穂達で
すら知らなかったのだ、それなのに初対面のはずの茜が『神代瑠璃』のことを『瑠璃姫』と呼んだのだ、これはおかしい。
「それはね・・・こういうことよ」
茜の姿が黒い霧に包まれる。
「あれ?これって・・・弥生さんと同じ、ってことは茜さんも教頭先生も淫魔だったってこと?」
寮に入ってきたときから茜と澪那が人間でない事はわかっていた瑠璃姫だったが、その正体までは特定できていなかった。
「っていうか、教頭先生は朝まで普通に人間だったんだから・・・ま〜さ〜かぁ」
あからさまに疑いの目で弥生を見る瑠璃姫、今朝人間だった人物を夜までに淫魔に変える、そんなことが出来るのは淫魔だけ。それもそこ
そこの力がある淫魔、そう身近に一人いる。
「ち、違うって!瑠璃姫様ぁそんな目で見ないでよぉ」
澪那に関して言えばあながち冤罪ではないと言い切れないところもあるが、茜に関しては完全に無罪の弥生が必死に弁解しようとする。
「茜は元々淫魔なの、って言うかあたしが淫魔になる原因なんだからっ!」
そうこうしている間に茜を包んでいた黒い霧が晴れる、しかしそこに現れたのは黒いボンデージ姿ではなく巫女装束の茜だった。
「・・・え?」
「なんで?なんで茜が巫女?」
淫魔の象徴でもある黒い羽も尻尾も無い、そして巫女装束も普通の巫女装束とはちょっと違う。袴は朱色ではない、濃くて澄んだ深い青色。
「しかもその色・・・瑠璃色ってことは、まさか!?」
袴の色を見た瞬間、弥生はとんでもない推理にたどり着いた。
「ええ、そのまさかよ・・・瑠璃姫様、お久しぶりにございます」
恭しく頭を垂れる茜、事態が全く飲み込めない澪那はさっきからず〜っと傍観しているしかなかった。
「あの・・・一体全体どういうことなんでしょうか?」
「あぁ、澪那にはわけ判んないよね、つまりね・・・この茜は瑠璃姫様に仕える巫女だったってコトだよ」
「ということは、茜様も弥生様のお仲間ってことですの?」
単純に考えればそうなる、しかし瑠璃姫が解放されたのはつい最近、そして開放されるまでの1200年間はずっと依代神社の御社に閉じ込
められていた。つまり、茜はそれ以前に瑠璃姫に仕えていた巫女の一人だったということになる。
「ん〜・・・昼間に会ったとき、弥生が淫魔なのに今はある神様に仕えているって言ったけど、まさか瑠璃姫様だったとはねぇ、確かに淫神だ
って立派な神様だもんね、淫魔が仕える神様にはもってこいといえばそうだし、実際私も仕えてたんだものね」
それまで一言も発せずに何か考え込んでいた瑠璃姫が不意に顔を上げまじまじと茜の顔を眺める、そして茜を指差し叫んだ。
「あ〜〜〜っ、思い出したっ!!!あなたはあの時の巫女!!!!!」
茜が魔法でこの空間を隔絶していなければ寮中に響き渡りそうな大声で叫ぶ瑠璃姫。
「あの時の巫女?」
「そうだよ、あの時の・・・姫奈におしおきされるきっかけになった夜伽の巫女だよっ!」
そう、瑠璃姫が1200年以上も封印されてしまうきっかけ、それは姫奈という瑠璃姫に一番仕えていた巫女が夜伽をする番だった日に、瑠璃
姫が他の巫女と楽んでしまった結果・・・つまり浮気のお仕置きに悲劇と不幸な偶然とが組み合わさった所為なのだった、そして弥生が亜種
とはいえ淫魔として覚醒してしまったことも、瑠璃姫の眷属となった瑞希と沙耶の策略の所為だった。
「・・・つまり、あんたが全部の原因だったのかよ」
なんだかんだの全ての元凶が目の前にいた、しかし最早怒る気も無くただただ脱力するだけの弥生、
「だって・・・あんまりにも可愛くて次の番が廻ってくるまで待ってられなかったのよ、それに封印された後は半端じゃなく強力な結界の所為で
近づくことも出来なくなっちゃったんだもの。瑠璃姫様、まことに申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げる茜、こんな神妙な茜は弥生も澪那も見たことが無かった。
「う、ううん良いんだよ。そりゃ1200年も封印されたのは辛かったけど・・・でも、この時代に開放してもらえたおかげで瑞希や紗希に弥生姉
様や瑞穂にも出会えた、それに姫奈にも会えたんだもん」
どこまでも心優しい瑠璃姫、茜だってこんな事になるとは思わず軽い気持ちでやってしまったことなんだろうと思っていた、それに瑠璃姫はそ
ういう嫉妬やねたみといった思いは1200年の間に昇華させていた。
「まぁ・・・瑠璃姫様がそう言うなら・・・」
頬の一つも引っ叩いてやろうと思っていた弥生だったが瑠璃姫が許すと言ったからにはそうも出来ない、ここはこのまま済ますしかなかった。
「ところでさ、茜・・・あんた今一体何歳なんだよ?」
瑠璃姫封印の一件については不問にするしかなかったが、弥生はこの質問だけは尋ねたくて仕方なかった。
「あら、女性に年齢なんて聞いちゃダメよ♪」
瑠璃姫の許しを得た茜はいつもの調子に戻って答えた。
一方その頃、体育館の機材倉庫
「ちゅ・・・り・・・りんせんせぇ」
消え入りそうなか細い声ながら艶のある音を混じらせ少女が喘ぐ。
「んっ・・・可愛いわ、御坂さん」
月明かりだけが窓から差し込む、薄暗い倉庫の中から話し声が聞こえる。既に部活動は終了し他の部員は帰宅していて体育館を含めてこの
周囲に人はいない、そんな機材倉庫の中には練習用の装飾のない青い長袖のレオタード姿の女性が二人立っていた。
「可愛いって・・・そんな」
軽いキスだけで頬を赤らめる少女、彼女は二年生部員の御坂優華(みさか ゆうか)だった。
「ホントに可愛いよ、御坂さん・・・もっとよく見せて」
凛は向かい合って立っている優華の顔を覗き込む、優華の方が若干背が低いので優華は自然と凛を見上げる格好になる。
「ね、もう一度・・・そんなに緊張しないで」
優しく囁きながらもう一度唇を重ねる凛と優華、先程とは違い今度のキスはゆっくりと時間をかけたものだった。
「うんっ・・・はぁ・・・」
最初は唇を重ねていただけだったが、凛がゆっくりと舌を出し優華の唇を愛撫する。唇を舐められるという未知の感覚に思わず吐息を漏らす優
華、緊張しているのか両手は胸の前で祈るように組んだままになっている。
「うふっ、キスだけでこんなに高鳴っていたら・・・どうなっちゃうのかしら、御坂さんは」
そう言うと凛はギュっと優華を抱きしめる、すると優華もぎこちない動きながらそっと凛の身体に手を回しゆっくりと、そして優しく抱き合った。
「せ・・・せんせ・・・」
薄いレオタードの生地越しに優華の高鳴る鼓動が凛の胸に響く、そして凛が抱きしめていた腕に力を入れると、優華と凛の身体はよりしっかり
と密着し凛には優華の、優華には凛の乳房が押し付けられる感触が一層強くなる。
「いやなの?御坂さん?」
そんな凛の問いかけに少し困ったような表情を見せる優華。
「い、いやだなんてそんな・・・せ、先生からこんな・・・誘って頂けるだなんて、夢みたいです」
他の大部分の部員と同じく、優華も凛目当てに新体操部に入部したクチだった。そんな凛と一つの部屋に二人っきりでしかもキスまでしている
「夢なんかじゃないよ、その証拠に・・・ほら」
もう一度口づけを交わす凛、優華は目を瞑ったまま凛のなすがままに唇を重ね凛が求めるままに舌と舌を絡める。
「クチュ・・・んあっ、クチュッ・・・んんっ」
絡み合っていた舌は徐々に優華の口腔内へと進入し優華の口の中を弄ぶ。
「ね?夢じゃないでしょ?」
唇を離すと優華はすっと目を開け、熱い眼差しを送る。
「凛先生・・・あの・・・優華って呼んでください」
潤んだ瞳で凛にお願いする優華、そしてそんな優華を優しく包み込むように抱きしめる凛。
「優華のココ・・・硬くなってる、わかる?」
レオタードの生地越しにわかるほど優華の乳首は硬くなり、押し付けられた凛の乳房に刺激を与えていた。
「あっ・・・ああ・・・せんせっ、そんな」
「優華・・・もっと気持ち良く」
凜は優華をマットに座らせると自分も向かい合わせに座る、そしてレオタードの上から硬くなっていた優華の胸に舌を這わせた。
「あ、あふぅ・・・せんせぇ、そこぉ」
座ったまま身体を仰け反らせる優華、しかしその動きは一層凛に胸を突き出すことになる。凛は優華の右胸に吸い付き、左手で左の胸を愛撫
する。そして残った右手を優華の背後に回し腰やお尻をゆっくり撫で回す。
「はぁ・・・はぁっ・・・凛せんせぇ・・・もう、もう・・・」
今まで全く性的経験のなかった優華にとって、凛とのキスそして胸への愛撫はあっという間に優華の限界を突破していた。
「うふふ、もうダメなのかな?優華は」
凜は快感で朦朧とし始めたの背後に回ると優華を更に責める、優華の右耳に熱い吐息を吹きかけながら軽く耳たぶを愛撫する、そして両手で
優華の胸をまさぐる。
「あっ・・・あぁぁ・・・せんせぇ、切ないよぉ」
自然と漏れる吐息、そして身体に力が入らなくなる優華。今は完全に凜に身体を預けてしまっている。
「切ない?そう・・・だったらココはどうかしら?」
凜は耳元で囁くと素早く右手を優華の秘部に沿わせる、
「あぁっ・・・せんせぇ、そんな・・・恥ずかしいよぉ」
顔を赤らめ俯く優華、しかし俯くということは自然と自らの秘部に視線を送ることになる、そこでは青いレオタードの生地の上を滑るように優しく愛
撫する凜の指と無意識のうちにその指の動きに合わせて腰をくねらせる自分の身体があった。
「恥ずかしがるコトないよ、優華・・・ほら、先生のココなんてもっと凄いことになってるんだから」
凜は優華の右手を掴むと自らの秘部に誘導する、そしてレオタードのクロッチをずらすと秘部の中心へと優華の指を進める。
「あっ!?・・・凜先生の・・・濡れてる」
消え入りそうなか細い声、優華の指に凜の淫液が絡みつきそこから全身が熱くなって行く様な感覚に襲われる。
「うん・・・優華の可愛い声とかで、あたしのココ・・・こんなになっちゃったの」
「わ、わたしの所為で・・・私で凜先生が、こんなに」
絡みつく凜の淫液と熱い秘肉の感触が優華から理性をそぎ落としていく。
「そう、だから・・・もっと・・・優華にもしてあげるから」
凜は優華をマットに寝かせると、優華の顔の上に跨りそのままその上に覆いかぶさるようになった。
「凜先生のココ・・・濡れてる」
優華の目の前に凜の濡れた秘部があらわになる、そして凜はそのまま腰を下ろしてくる。
「ね?優華のお口で・・・して?」
凜にねだられるままにオズオズと舌を伸ばし、舌先を凜の秘部に伸ばす。
「んっ・・・ああっ!」
優華の舌先が触れた瞬間、凜が切ない声を上げる。その激しい反応に優華は思わず舌を引っ込めてしまう。
「あ、せんせ・・・ごめんなさい」
性的経験のない優華には加減がわからない、だから今の刺激が強すぎたのかと思いおもわず謝ってしまう。
「ん、違うの・・・良かったのよ・・・うふふ、そうね私だけが気持ち良くなっちゃダメだよね」
おもむろに凜は優華のレオタードのクロッチをずらすとまだ硬い蕾のままの秘部に顔を近づけた。
「せ、せんせい・・・そんなトコ」
生まれてはじめて感じる感覚、秘部に他人の吐息が掛かる感覚。
「優華・・・はじめて?」
凜には匂いで優華が処女だと判っていたが、あえて尋ねることで羞恥を煽りそして自分への隷属を高めようとする。
「は・・・はい」
コクリと頷く優華
「そう・・・それじゃ優華に教えてあげる、だから私のするように私にしてみて」
凜はそういうとまず優しく優華の秘部にキスをする、その瞬間身体に電流が走ったような感覚に包まれながらも、優華は懸命に凜がしてくれるよう
に凜の秘部にキスをする。すると凜が自分にしてくれた時の様に凜の身体もまた同じようにビクンと震える。
「あ・・・じょ、上手よ優華・・・もっと、もっと気持ち良くなろうね」
それからしばらくの間、時間にして20分以上凜と優華はお互いの秘部を舐めあった。その間に優華の理性はドンドン削られもう既に殆ど残ってい
ない状態だった。凜が優華のクリトリスに吸い付くと同じように優華は凜のクリトリスに吸い付き、凛が優華のまだ未成熟な秘部から溢れ出た淫液
を啜ると、優華も凜の秘部から溢れ出た淫液を啜る。そんなことを繰り返しているうちに未開発だった優華の性感は不思議なほど加速度的に開発
全ての快楽を受け止められるようになりつつあった。そして凜の淫液を啜り行為を繰り返すほどに頭の芯からボーっとしてしまう優華。
「うふふ・・・優華もすっかり良くなってきたみたいだね」
ボーっとしながらも一心不乱に愛撫を受け入れ愛撫を返してくる優華を満足そうに見つめる少女、二人きりだった機材倉庫にいつの間にか、第三
の少女が存在していた。その少女はマットの隣に積まれた跳び箱の上から全ての行為を眺めていたのだった。
封印の巫女 続・瑠璃姫編
第十一部『因縁と暗躍』〜了〜
第十二部につづく