民主党の後藤英友衆院議員(比例九州)の元出納責任者で、公職選挙法違反の罪に問われた井上広世被告(42)に28日、有罪判決が言い渡され、同党関係者には「非常に残念」などと落胆の声が広がった。有罪判決が確定すれば、後藤氏の当選が無効になる可能性もあり、他党からは「後藤氏が自ら身を律するべきだ」と、議員辞職を求める意見も出た。
■自民「自浄能力発揮を」
「わが党の選挙に絡んで県民、支援者に心配をかけ、心よりおわび申し上げます」。民主県連(松野信夫代表)は28日、謝罪のコメントを発表した。ただ県連は、井上被告が控訴する方針を示しているため、当面は事態の推移を見守る方針。鎌田聡代表代行は「党内の『政治とカネ』の問題が議論されている中で残念。井上氏の今後の対応を注視したい」と慎重に言葉を選んだ。
昨年8月の衆院選で、後藤氏陣営の後援会長を務めていた男性(77)は「非常に残念。民主県連が事前に選挙違反についての研修会を実施していたのに、なぜこういう結果になったのか」と肩を落とした。その上で「最終的な管理責任は後藤氏本人にある。遊説で忙しく、会計は事務局任せだったとしても『知らなかった』ではすまない。有権者に、きちんと謝罪すべきだ」と話した。
衆院選熊本3区では、現職で自民党公認の坂本哲志氏が新人の後藤氏に競り勝った。同党県連の前川收幹事長は「後藤氏は選挙戦で政治浄化を訴えてきた人であり、自ら身を律するべきだ。民主党も自浄能力を発揮し、しかるべき対応を取ってほしい」と求めた。
公明党県本部の城下広作幹事長は「政権選択の選挙で、有権者の期待を裏切った責任は重い。後藤氏が判決をどう受け止め、どう対応するのか注目している」と語った。
=2010/01/29付 西日本新聞朝刊=