多恵のために、健は思いをこめて「赤の月」をピアノで弾く。涙を流しながら演奏を聴いていた多恵は、健の何気ない仕草を見たとたん、「会いたかった...浩志」と叫んで、愛しそうに健の手をつかむ。それは他ならぬ浩志がよくする癖だった。多恵は健を浩志だと信じ込むと、突然意識を失う。ある日、直は多恵の病室でしおれたバラの花を見て、処分しようとする。すると、多恵は強い口調で直を止め、浩志は生きていると取り乱す。翌日、健は江利子にカーネーションを買って帰る。仁美と母の日のお祝いをする予定だった。そこへ健に浩志のフリをしてほしいと直が訪ねてくる。