待ち合わせ場所としても親しまれている四条河原町阪急=28日午後、京都市下京区、高橋一徳撮影 |
京都随一の繁華街で1976年の開業以来、若者向けファッション中心の百貨店として親しまれてきた「四条河原町阪急」。28日の突如の閉店決定に、周辺の商店主や買い物客からは、驚きの声が上がった。待ち合わせの場所としても定着していただけに、街の魅力をどう維持するかという、重い課題も投げかけられている。
四条通沿いの商店でつくる四条繁栄会商店街振興組合の矢野三博専務理事(50)は28日正午すぎ、閉店の知らせを受けた。「百貨店の幹部から『秋に閉めます』と言われ、びっくりした。商売が厳しくなっているというのは知っていたが」と信じられない様子。
開業の76年当時、低い建物が多い交差点に現れた大きなデパートに、道行く買い物客らは大きな期待感を抱いた。開業の年に近くのしにせ呉服店に入社した水谷政史さん(52)は「看板の『阪急』の文字がキラキラと輝いていた……。若者向けファッションに特化したことが、行き詰まりにつながったのか」。
京都市の四条通と河原町通はいずれも古くからの商業地域で、阪急と高島屋が並ぶ交差点は京都の商業地のシンボル的な場所。真下には、阪急京都線の終点「河原町駅」があり、人の流れを街に呼び込む「窓」としての役割も担う。阪急の外側にある世界地図のレリーフは、京都市民らの待ち合わせ場所としても親しまれてきた。
28日夕方、レリーフの前で友人と待ち合わせをしていた地元の女子大生(22)は「ここが一番わかりやすい場所。四条河原町のイメージって、阪急と高島屋でしょ。なくなるのはさみしいですね」。
建物は住友不動産が所有している。京都市内で記者会見した阪急阪神百貨店の新田信昭社長は「コメントできる立場にない」と話すだけで、後継店舗は未定という。