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小惑星探査機 はやぶさ

小惑星探査機「はやぶさ」情報

日本時間2010年1月28日現在
地球より(Distance from Earth): 45,964,850 km

今週のはやぶさ君

はやぶさ君「はやぶさ」は、地球への帰還に向けての長い旅路の途中にありますが、2007年10月以来の「冬眠モード」を終え、2009年2月4日11時35分にイオンエンジンを再点火、動力飛行を開始しました。
これから、2010年3月頃までイオンエンジンによる加速を徐々に行い、地球帰還へ向けた第2期の軌道変換を行う予定です。
「はやぶさ」の旅はまだまだ目が離せません。 これからも「はやぶさ」関連の小ネタを、少しずつ報告できればと思っています。

2010年1月28日[更新]

はやぶさ君は今週もイオンエンジンを用いた軌道変更に勤しんでいます。
はやぶさ君と地球との距離を測るのには、地球から送った電波がはやぶさ君まで行って帰ってくるまでの時間を計ります。電波の進む速度は光の速さと同じ秒速約30万kmなので、「はやぶさ君からの返事があるまでの時間×光の速さ」で往復の距離がわかります。通信の状態や他の運用予定にもよりますが、一回の運用中に何回も呼びかけては返事を記録して、より正確な値を求めます。

一方で、はやぶさ君の速度を測るのにはドップラー効果を使います。ドップラー効果とは、身近な例でいうと救急車が近づいてくる時と遠ざかっていく時ではサイレンの音が違って聞こえる現象のことです。近づいてくる救急車のサイレン音の波は、救急車の速度の分だけ波の間隔が詰まって高く聞こえます。逆に、遠ざかっていく救急車のサイレン音の波は、速度の分だけ波の間隔が延びて低く聞こえるのです。
この例は音波でのお話ですが、はやぶさ君との通信用の電波を使っても同じようなことが観測できます。地球に近づいてくるはやぶさ君からの電波は、近づく速度の分だけ波長が詰まって観測されるので、これを利用して地球から見たはやぶさ君の速度を測ります。

これらの方法と精度のよい時計と観測機器を使えば、地球とはやぶさ君とを結ぶ線と同じ向き(視線方向)の距離や速度を高い精度で測定することができます。イトカワの観測をしていた2005年の秋、はやぶさ君は地球から約3億kmの彼方にいましたが、視線方向に関してだけなら、地球とはやぶさ君との距離は10mの精度で、はやぶさ君の動きは0.1mm/secの精度で測ることができました。
一方で、視線方向と直行する向き、たとえばテレビの画面の上で上下左右に動くような位置を観測するのは、探査機の軌道決定では困難です。なぜなら、探査機がいるのが数億km先ということでどうしても誤差が大きくなるからです。たとえば、直径5cmくらいの小さな分度器を使って、模造紙いっぱいに正確な星型を書くのが意外に難しいのと同じ感覚です。したがって、3億km離れたイトカワを観測していた時点での、三次元的なはやぶさ君の位置決定精度は300kmだったのです。

地上ではこれらの方法を駆使しながらはやぶさ君の位置や速度を決め、はやぶさ君を地球へと導くために日夜奮闘中です。

軌道決定に関する詳しい説明はこちらをどうぞ
ISASニュースNo.182:小宇宙【宇宙通信工学(5)電波航法】
ISASニュースNo.151:研究紹介【深宇宙ミッションにおける追跡管制】(PDFファイル)

2010年1月28日00時00分(日本時間では、1月28日の09時00分)現在のはやぶさ君は、地球からの距離45,964,850km、赤経9h37m5s、赤緯19.80度にいます。

軌道情報

2010年1月21日[更新]

先週から今週へと、はやぶさは地球帰還へむけて順調にイオンエンジンの運転を継続しています。最接近距離は、115万kmと、月への距離の3倍を切りました。残りのイオンエンジン運転期間は、約2ヶ月です。

軌道図は「はやぶさ探査機母船の地球への帰還」を示していますが、今後の運用の焦点は、地球大気への精密な誘導で、それによって「はやぶさ搭載のカプセルの地上帰還」が可能になります。

「はやぶさ」プロジェクトマネージャ 川口 淳一郎

地球帰還へ順調。残り2ヶ月間のエンジン運転

[画像クリックで拡大画像]

慣性座標系(黄道座標系)での「はやぶさ」位置(2010年1月)

慣性座標系(黄道座標系)での「はやぶさ」位置(2010年1月)

最新トピックス

2010年1月14日[更新]

「はやぶさ」地球引力圏軌道へ!地球まであとわずか
地球帰還に向けて航行している小惑星探査機「はやぶさ」は、徐々に地球へ近づく軌道へと移り、地球の引力圏の内側(約140万km)を通過する軌道に乗ったことが確認されました。 現在「はやぶさ」は、地球から約6,000万kmの距離を航行しています。今後はさらに地球へ近づけるため、月軌道半径を通過する軌道へと移行する計画です。

関連リンク

今後の予定

2010年6月 地球に帰還

ミッション達成度

【達成!】電気推進エンジン 稼働開始(3台同時運転は世界初) 50点
【達成!】電気推進エンジン ある期間(1000時間)稼働 100点
【達成!】地球スウィングバイ成功
(電気推進によるスウィングバイは世界初)
150点
【達成!】(自律航法に成功して)イトカワとランデブー成功 200点
【達成!】イトカワの科学観測成功 250点
【達成!】イトカワにタッチダウンしてサンプル採取 275点
カプセルが地球に帰還、大気圏に再突入して回収 400点
イトカワのサンプル入手 500点