1月28日(木曜日)
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移動編集局・海部郡 海部にエール
移動編集局・海部郡 海部にエール
 海部郡で生まれ、全国を舞台に活躍する人の多くが、古里に背中を押されてきた。「掛け替えのない自然や文化を守り伝えてほしい」「海部をもっと元気づけたい」。そう願う人は少なくない。出身者らに思いを語ってもらった。=2004年6月1日から5回連載
カヌーイスト 野田知佑さん(66) 日和佐町
親父なら子供を川へ  
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カヌーイスト 野田知佑さん(66) 日和佐町 日和佐川、海部川、穴吹川…。潜れば何十メートルも先が見える。清流を泳ぐアユ、カジカ、テナガエビが視界に入る。もりを手に魚影を追う。


 「北海道の川はきれいだけれど、冷たいから遊べない。見て、きれいだけでは意味がない。潜って魚を追いかけられる川でないと」

 陸から近づけず、誰も来ないビーチが点在する。南の海は水温が高い。冬でも泳げる。人がいないから、自然もそのまま残る。全国各地の川をカヌーで下った。二〇〇〇年四月、日和佐町の自然が気に入り、鹿児島から移り住んだ。「徳島の人はどこにでもあると思っているけど、こんな三拍子も四拍子もそろった川や海なんて、なかなかない。言っても、ぴんときてくれないんだけどね」



 子供が川釣りに行ったら、学校にさおを没収された-。こんな話を耳にし、「何てばかなことを」と思った。「日本という国は三十年ほど前、『いい子は水辺で遊ばない』のキャッチフレーズを掲げ、看板をあちこちに立てた。おかげで川で遊べる子供がめっきりいなくなった。今の子供の親世代もそう」

 魚を捕る技術がないどころか、川を知らなすぎる。だから、川の水が汚れて腐ったり、生き物がいなくなったりしても「ああ、そうですか」で終わってしまう。「川で泳いだことがあったら、汚い川を見れば、きっと心が痛む。それが痛まない。これでいいはずがない」と言う。

 「子供を川に連れて行って遊ばせる。これは親父(おやじ)の義務ですよ」。最近、心底そう思う。



 野田さんのもとに、都会から多くのアウトドア仲間がやってくる。「いずれは田舎に住みたいというのが三割から五割はいる。でも手がかりがない。住居とか、仕事とか」

 アウトドア志向の都市住民にとって、農業は職業として重要な選択肢の一つ。

 「こっちには貸したいほど、たくさんの田畑がある。その田畑で農業志望者を一定期間、研修させる。宿泊地は町が用意する。実際、そういうことをしている村が他県にはある。一定期間いれば、新しい仕事への自信も養えるし、住民とも仲良くなれる。移住に向け、ぐっと背中を押すことにつながる。安い投資ですよ」

 活性化の手がかりは豊かな自然にある。「川や海で遊ばないと、その宝にも気づかない」。野田さんは繰り返し、強調した。「川に子供の歓声を響かせてほしい」。

 <のだ・ともすけ> 熊本県生まれ。北米、オーストラリアなどの川を漕破した経験を持つカヌーの第一人者。「日本の川を旅する」(日本ノンフィクション賞新人賞)など著書多数。

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