|
タンポポ会幼児教育研究所
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-16-14 カパラビル1Ｆ TEL/FAX：03-3391-8385 |
タンポポ会幼児教育研究所からのお知らせや、小学校受験に関するお役立ち情報などを掲載しています。 2008年1月29日
２００７年１１月実施 慶應義塾幼稚舎入学試験詳解
２００７年１１月実施 慶應義塾幼稚舎入学試験詳解
・今年度の入試問題を振り返って
―入試アウトライン
入試日程 １１月３日（土）〜 １１月１０日（土）のうち１日
昨年は１１月４日から１１月１２日のうち１日
昨年の応募者数 男子１３５７名 女子１０６８名
昨年の受験者数 男子１２８２名 女子 ９４３名
受験番号 ランダム
考査番号 月齢順（本年は男子早生まれからスタート）
（男子）１月中頃生まれ １１月３日 １２時４５分〜
（男子）８月下旬生まれ １１月５日 ９時１５分〜
（男子）６月初旬生まれ １１月６日 ８時５０分〜
（女子）３月下旬生まれ １１月８日 ７時５５分〜
（女子）２月下旬生まれ １１月８日 ９時１５分〜
（女子）９月初旬生まれ １１月９日 １２時００分〜
（女子）８月中旬生まれ １１月９日 １時１５分〜
（女子）６月初旬生まれ １１月１０日 １０時１５分〜 （
試験時間 約１時間３０分
―今年度の聞き取りによる（志願者からの聞き取りなので、多少の不明
点はあり。） 予想出題 ・慶應義塾幼稚舎は本年４月１日付で幼稚舎長が福川
忠昭先生から加藤三明先生に交代されました。２００２年 １０月から舎長を務められた福川先生がこの３月にご定年 となり、舎長の任を退かれたので、加藤三明先生が舎長に、 相場博明先生が引き続き主事としてご就任されました。 本年度で１３４年目を迎える、日本で最も古い小学校の一つ
の新舎長が入学式に幼稚舎生と約束された事は、 １．自分のことは自分でする。
２．うそをつかない。
３．お父さん、お母さん、先生の言うことを聞く。
４．友だちと仲良くする。
という事だったそうです。そしてこの４つの約束を守ることが幼稚舎生にとっての 「独立自尊」だとも。新舎長は幼稚舎を“名前だけでなく、中身を更に充実した学校にしていくことが私の役目”と抱負を述べられていらっしゃいます。
舎長先生はお変わりになりましたが、主事先生は引き続きでいらっしゃること、又、
体操などの試験でのメイン課題を担当になられる先生もお変わりでないので、
本年度の内容も、ほぼ、ここ数年の幼稚舎の出題傾向と同じのようです。表現発表力の領域で、昨年のように、４回位練習して、檀上に上がってダンスをしたり、最後に
好きなポーズをとったりする内容のものは出題されていないようなので、この領域が苦手なお子さまには受験なさりやすかったのではと推察しています。昨年に比べ、受験生の皆が一様に「楽しかった！」と帰ってきているので、学校側の意図する合格基準は分らないまでも、昨年よりは受験者本人がどこで失敗してきたのかが分からない、“楽しく”感じる内容ではなかったのかと思われます。
・例年で共通のことでは
・３つのお約束があり、「うるさくしない」「前の人を追い越さない」「かけない」でした。
・また、控え室で体操着に着替えますが、先生方が見ていらっしゃるわけではなく、（先生は廊下から「志願者は着替えてください。」とおっしゃり、控え室の中で監督をなさるわけではありません。）用意された、プラスチック製の籠の中に着てきた洋服などをいれます。帰りは同じく、体操服から着てきた洋服に着替えます。
・ゼッケン（白のランニング式の番号が青で書いてあるもの）を体操着の上から着て、
右手に受験票を持って、机の右側に並んで、試験をする会場に移動します。(月齢の高い子供―６月生まれ等は、ゼッケンを付ける時は、次の教室へ移動してからなので、すでにその時点から考査が始まっていると思われます。
・１５秒ぐらいで自分のマークの色と形を覚える指示があります。椅子の背のところについています。（赤、橙、青、緑、等の色で、形は○、□、ハート等）
・絵画・巧緻性領域課題
１月生まれ（男子）１１月３日（土）
「生き物を１つ作ってください。」
材料は青、黒、黄、赤、水色等の色画用紙が用意されてあり、
セロテープと糊で、手でちぎって白の画用紙に貼っていきます。 作っている間に、平均して３人位の先生が「何を作っているの？」 と聞きにいらっしゃいます。 ６月生まれ（男子）１１月６日（火）
「小さい紙に動かしたい物を描き、細い紙（２〜３センチ）の先に
セロテープでつけてから、画用紙に描いてある縦または横の 線を切って、どちらかの線を使い、今描いたものを穴に通して 動かせるようにする。」 ・小さな紙に動物や乗り物、何でも自分で考えたものを描く。
・描いたものをハサミで切り取る。
・細長い紙に切り取ったものをセロテープで付ける。
・Ｂ４位の画用紙に２〜３センチ位の縦と横の線が書いてある。
・自分が動かしたい方向の線に切り込みを入れ、先ほどの作った
・画用紙の空いた部分には、自分が動かしたいと思って描いた絵
に合った風景を描く。 ・動かして遊ぶ。
作成中平均して３人位の先生が質問にいらっしゃる。
「何を描いているのですか。」「どうしてそれを描いたのですか。」
「それに乗ってどこへ行きたいですか。」等。 ２月生まれ（女子）１１月８日（木）
・「ここにある葉っぱを使って、好きなものを描いてください。」
・大小１０枚ぐらいの葉っぱ（本物ではない。）と、Ｂ５位の画用紙を
与えられる。 ・カゴの中に、糊とマッキーが入っているのを使って、葉っぱを自分の好き
なものにしてから糊で貼り、マッキーを使って好きな絵に仕上げる。 作成中に先生がいらっしゃるが、其々の先生が同じような質問をなさる。
「何を作ったのですか。」等。 ９月生まれ（女子）１１月９日（金）
「模造紙一枚に、動物園の絵を描く。」クレヨンぺんてる１２色使用。
共同制作で４人で描く。何を描くかは皆で相談する。
お約束としては、「同じ種類のものなら何頭描いても良い。」
・指示行動・運動領域課題
６月生まれ（男子）１１月６日（火）
体育館で実施
・５人ずつ一組で競争。
・５人で網をくぐる。（網の穴が狭かったといっています。）
・プラスチックの大きなカゴになわとびのひもが３本ついている。
・一人がカゴの中に入る。残りの４人でカゴについているひもをひっぱり、
コーンを回ってくる。（２回実施） ・高さ１メートル（跳び箱？ 上にマットが重ねてある）の台に乗ったら、
「バンザーイ」と言って、マットがひいてあるところにジャンプして降りる。 ・体育館内を移動する。
・模倣体操（前に一人の先生、皆の方を向いて一人の先生）を自分のマーク
のところに立って全員（２５名単位？）でする。この時間帯は実際には ２３番まであったそうです。 ・音楽やフエの合図もなしで、先生のかけ声で行われた。
・体育館内を移動し、次の運動テストを受ける。３人ずつ椅子が置いてあり、先生
が「あなたとあなたとあなた」と頭に手を当てて呼んでくださる。 立って、前に書いてある×のマークのところに呼ばれた３人が立って用意する。
スタートの合図の後、向こうに置いてあるボールのところまで急いでかけて いき、次にコーンの横においてあるボールを取って、２〜３メートル先の的 （ダーツのような的）に向かって当てる。 ・それが終わったら、白いゴムが張ってある（３本）を�…靴屐´△�ぐる �Ｄ靴�
をした後、クマ歩きで元のゴールまで行き、早く着いた子どもはバツマークのと
ころで気をつけをして待っているように指示される。
・６月生まれ（女子）１１月１０日（土）
・６月生まれ（女子）も、６月生まれ男子と行動観察・体操領域はほとんど内容は同じ
でした。（ボールがコーンの横ではなく、コーンの上に乗っていたそうです。）
・模倣体操は�ー蠅鮠紊砲△欧謄亜璽僉次▲亜璽僉爾函∪萓犬凌浸�をしてするが、
途中でテンポが速くなる。 �∧丗�で、右に５回、左に５回ずつトン、トン、トン…とケンケンをする。
―幼稚舎が入試で何を試そうとしているのか
・世の先導者としての役目として、小学校入試における理想の形を模索しているの
ではないかと思われる。 ・小学校入試は５〜６歳のお子さまが対象になっているので、如何にして弊害なく
試験を執り行うことができるかを検討した結果、現在のようなテスト形式を採用 しているのではないかと考えられるが、幼児が初めての場所で、初めての先生 や友達と１時間半位の短時間の中で、それもあれだけの人数の中で考査を受 ける現実を考えると、志願者が適正に判断され、審査する側も適正に判断する ことができるかは常なる問題点・課題に違いないと、毎年の幼稚舎の問題を見 て感じることである。 ・ 願書は郵送である。（期日の指定を守れば良い。）
・ 願書は、ランダムに受け付け番号が付けられる。（夜中に郵便局に並ぶ
必要がない！） ・ 受験日は月齢順である。（幼児が試験を受ける体制としては考えられる
一番いい方法？） ・ 受験は１日で、約１時間３０分（保護者は試験中、外に出ていてもよい。）
・ 父母の面接はない。
��合格発表は電子郵便である。（他の学校より発表まで時間がかかるのは
小学校の意向だけでは決定できない慶應のシステムによるものかもしれない。） ＊以上は、慶應幼稚舎を受ける場合、誰でも経験することですが、他の小学校に
比べて受験のシステムが簡潔である（学校に行くのは試験当日のみ）かもしれ ません。入学後も保護者会は少なく、授業参観もクラスによっては無いので 学校に出向く機会が少ないと、在校生の保護者の方もおっしゃっていますので、 学校の保護者に対する姿勢の特徴として現れているかもしれません。 ＊慶應義塾の教育方針の一つに「気品の泉源」「知徳の模範」が挙げられて
います。 ・変容する時代において困難にぶつかった時に力強く立ち向かい、事を成就
させる力、何らかの課題に直面した時に、何が今必要で、どのような方向に 向かうのが適切かを論理的に判断できる力・・・。幼少より、物事を順序立て て考える訓練をすることにより何らかの課題に直面した時に、人に頼らず 自分の力で切り拓いていく能力が備わっていきます。幼稚舎では幼少の 頃から子育てをそのように試みられていらっしゃったご家庭か否かを お子さまを通して試験中に見つけようとなさっていらっしゃるのではないかと 推察しております。 ＊幼稚舎の考査での重要な課題である絵画での取り組みについて平成
１４年度から絵画科授業担当の先生、前任でいらっしゃった先生共に、 「絵画の授業は絵画を制作していく中で子どもが自分自身に対峙する 機会であり、自分の得意、不得意をつかみ、自分の作品を良くするた めに何をすれば良いかを考えて、不得意なところを補うのではなく、 得意なところを伸ばすこと、自分を冷静に分析し、自分に向き合う機会 ではないか。」とおしゃっておられます。（慶應義塾幼稚舎同窓会報より） ＊片やもう一方の重要な柱である行動観察・運動の領域
幼稚舎創設以来、「先ず獣身を成して人心を養う」の福澤先生の教えに
従った教育方針を掲げているので、身体の発達や体力の増強を図ると いうことだけでなく、自己コントロール力と敏速でしなやかに動ける身体、 豊かな感性を身に付けることに力を入れている。年間を通じての幼稚舎 の多くの体育活動のカリキュラムの中からは、心の美しさや大きさ、 表現を大事にする、獣身を育てる主張がみられ、入学してから卒業する まで、盛り沢山の体育行事や活動が組まれている。 ＊以上のことから
・入学考査においての試みとして、幼児に対しても、幼稚舎生になる前段階
として、今までやったことがないような課題に遭遇しても、自分の力で 何とか工夫してやることのできる豊かな想像性や創造性の資質を 育んだ家庭で育ったか否かをいろいろな材料や変わった課題を出 した時の対処の仕方をみることで判断する。 ・過去の問題例：「車が渋滞していて動けない。急いでいるので目的地まで
何とかいけるように工夫してください。」（過去問題から） ・入学後の体育行事に無理なくついていかれる身体能力があるか、
敏捷性があるか否か等を選抜の主なる観点にし、その能力を 見極めるための試験内容が試みられていて、どの時間帯も同じ 問題が出題されないので短期間での試験対策、表面上だけの 受験準備ではとても合格には難しいことを示唆していらっしゃる かと考えられます。 |