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切れ目のない景気対策を

2010年1月28日0時2分

 多くの年賀状の中で印象に強く残ったのは「日本経済!もう少しがんばって欲しい」という主婦からの一文であった。信頼していたのに、この有り様はどうしたことかと、いかにも怒りをこめているように思えた。

 今日の経済状態は、デフレと不況の悪循環に陥る瀬戸際に来ており、企業、家計に不安感が募っている。もともとわが国の生活コストは高すぎた。国際的にも物価高はトップクラス。生活コストを少しでも軽減してくれるうちはデフレも許されたが、適正価格の限度を超えたデフレが続くようでは好ましくない。それこそ日本経済、企業の実力、能力を減殺しかねない。

 日本は国際的に見て優れた能力をまだまだ備えている。たとえば100円ショップは英国、カナダなどのワンダラーショップより品質、品ぞろえははるかに優れている。どうしてこんな商品まで100円で売ることが出来るのかと驚くほど。これは基本的に生活関連企業が発展しているからだと考えられる。また、多くのメーカーは技術水準が高く、他企業や研究機関と連携して環境やクリーンエネルギーの新技術、新製品開発に積極的に取り組んでいる。しかし、受注減がこれ以上続けば、こうした活力も損なわれるだろう。

 今日、緊要なことは、需給ギャップがこれ以上拡大しないよう、補正と来年度予算の早期成立はもちろん、あらゆる手段の景気対策を切れ目なく実施することである。とくに内需を拡大するため、たとえば比較的貯蓄に余裕のある高齢者には消費税を時限的に軽減するなど、消費を刺激する知恵と対策が必要である。そうしないと、日本経済に対する自信や希望をなくしかねない。(共生)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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