連載CMSとは――導入から構築まで
Z会がCMS導入で12000ページ全面刷新 - リニューアルの裏側を大公開
発注主と請負先、プロジェクトマネージャーが対談で振り返る
Z会オフィシャルサイト、全面リニューアルの背景と経緯
教育関連事業大手の株式会社Z会は、2009年12月にオフィシャルサイトをリニューアルし、12,000ページにもおよぶWebサイトを全面刷新した。必要な情報を整理してデザインを全面変更し、CMS導入もしている。
Z会のリニューアルプロジェクトは、CMSを用いたWeb構築プロジェクトのなかでも大がかりで、制作を担当したロフトワークにとっても指折りの大規模案件だったという。今回、Z会でプロジェクトの陣頭指揮を執ったWeb戦略統括の寺西隆行氏と、ロフトワークでプロジェクトを取り仕切ったシニアディレクターの滝澤耕平氏が対談。リニューアルに至った背景や抱えていた課題、どのような社内調整を経て予算を取り、プロジェクトの完遂までこぎ着けたのか。発注者と受注者、両氏の生の声から、その歩みを振り返る。
12,000ページの巨大サイト、各事業部門任せだった運用体制を問題視
●滝澤(ロフトワーク) リニューアルの話に入る前に、まずその前の状況について教えて頂ければと思います。Z会のオフィシャルサイトは、従来どのような形で運用され、どんな課題を抱えていたのでしょうか?
●寺西(Z会) 2004年末にWebサイトを刷新して、その時に運用マニュアルを作成し、更新・運用業務のフローを確立していたと聞いています。ただ、それが有効に機能していたかと言えば、必ずしもそうではない部分があって……。
Webサイトの管理・運用を専門で手がける部門が存在しなかったことから、コンテンツの制作は、各事業部門に任せっきりでした。結果、部門ごとにコンテンツがバラバラで、品質の良し悪しも顕在化してしまった。作ったコンテンツの評価も、「きれい」や「わかりやすい」などの主観だけで、客観的に計る指標がありませんでした。
また、サイトの管理業務を担当する部門はあったのですが、担当者が他の業務との兼務で、サイトに何か問題があった時の“お助けマン”だっただけで……。情報発信ツールとしてWebサイトを重要視する機運は高まっていたものの、それとは裏腹に、運用・管理は“なぁなぁ”になってしまっていたのです。
Web担当者の負担を知りリューアルを即決
●滝澤 そんな状況下で、寺西さんが担当になったわけですね。
●寺西 2008年の初めに、現在の部門に配属され、広告・宣伝も含め、Web全体を統括する立場を任されました。私のような立場はそれまでのZ会にはなかったので、画期的だったはずです。
●滝澤 今回のリニューアルは、デザイン変更とCMS「WebRelease 2」の導入でしたよね。担当になってすぐに、このような大幅刷新を手がけるのは、相当の決意があったのではと推測していました。どんな想い、目的をお持ちだったのですか?
●寺西 信頼する後輩から「デザインをリニューアルしたい」という強い要望を受けていて、同時に、更新作業を手がける社内のシステム課からは「CMS導入を検討している」という話を聞いていたのが、大きなきっかけでした。リニューアルは即決で、担当になって1か月ほど経った時には、戦略・戦術の立案に取り掛かっていたと思います。
リニューアルの目的は大きく分けて3点。ユーザビリティの向上、各事業部門の情報発信力の強化、そして、システム課をハッピーにすること。私はそのなかでもシステム課の負担軽減をかなり意識していました。従来の仕組みでは、テキストで書かれた文章を1つ変更するのにもシステム課のSEにお願いしていたため、本来やるべき仕事以外の負担になっていました。システム課の担当者は社内の請負的な位置づけでして、リニューアルを声高に訴えられない立場でもあったので、私がWebサイトの運営を陰で支える担当者をサポートできればと思ったんです。
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