【ブリュッセル=井田香奈子】オランダ政府の独立調査委員会は12日、米、英の主導で03年3月に始まったイラク戦争が、国際法違反だったとする報告書を公表した。米英が攻撃の根拠とした国連決議について「さらなる決議なしに、個別の国々のイラクへの侵攻を認めるものではなかった」とし、攻撃を支持したオランダ政府も決議の解釈を誤っていたとしている。
オランダがイラク攻撃を支持した際、政府内でも適法性に疑問が出ていたことが議会などで問題になり、バルケネンデ首相が昨年、元最高裁長官を座長とする委員会に調査を委嘱していた。
報告書によると、オランダ政府は02年9月に攻撃支持の立場を決定したが、調査委は本来のオランダの政策や国内世論には沿っていなかったと判断。政府が、イラクの大量破壊兵器をめぐる情報機関の一部の情報に追従していたと指摘した。
米英のイラク攻撃をめぐる欧州各国の対応は分かれ、フランス、ドイツが強く批判した一方、オランダは「フセイン大統領が国連決議に従うことを拒否した」として米英への支持を表明していた。オランダは米英による攻撃後の03年から05年にかけて、イラクでの国連の治安維持活動に約1100人を派兵した。