症状が軽く必要性が低いのに救急外来を受診する患者から特別料金を徴収できる仕組みについて、中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)は27日、新年度の診療報酬改定での導入見送りを決めた。委員間で合意が得られず、断念した。ただ、救急医療の適正な利用を求めていく点では一致し、当面は啓発活動を充実させることで対応する。
軽症患者が、自分の都合で夜間や休日に受診するケースがあり、救急医療現場の負担増加につながっていると指摘されている。中医協は、医師らの負担軽減策の一環として特別料金の徴収を検討。対象を重度の患者を受け入れる救急救命センター(全国で221施設)に限定したうえで、診療前に患者側に周知することや診療の優先順位の基準を各医療機関で策定する――などを条件に徴収できる仕組みが検討されていた。徴収対象の典型例として「虫さされがかゆい」「海外旅行なので、いつもの薬をたくさんほしい」が示されていた。
この日の中医協では、患者ら支払い側委員が、「患者自身が(軽症か)判断できないことが多い」「逆に、お金を払えば(救急に)行っても良いとなりかねない」など導入に反対。患者に適正利用を働きかける取り組みをしたうえで、検討すべきだとの意見が出た。
これに対し、医師ら診療側委員は「本当に救急医療が必要な人が受けられないことがある」など導入の必要性を訴えたが、新年度からの導入は時期尚早と結論づけられた。
ただ、現在も一定の条件を満たして救急外来で特別料金を徴収している場合は、今後も継続できる。