『新・UFO入門』と、唐沢氏の新書10年計画

『社会派くんがゆく!RETURNS』が突っ込まなかったので、代わりに。
唐沢俊一氏は、私塾『文筆業サバイバル塾』を主催している。ライター志望者を塾生に迎え、講義形式で、業界における生き残りのノウハウを伝授するといった内容。
『新・UFO入門』に絡む一連の騒動を目にして、初めに思い出したのが、この授業の講義録でした。というのも、(今から考えると、まるで悪い冗談みたいだけど、)サバイバルのモデルケースとして、当時構想中だった『新・UFO入門』を挙げていたからです。
以下、『文筆業サバイバル塾 Vol.1』講義録※より引用。(※コミケにて購入。出版評論社NetShopでも買うことができる。)
某社のような中堅の出版社で一つの新書が創刊されると、(略)、出版社というのは意地でも新書のブランドを十年は潰しません。
ということはここで定期的に書いていけば、十年間仕事をここで取れる。まあドル箱というか(笑)、仕事先というのが見つかるわけであって、「これは逃さないようにしよう」と私は思った。
「某社のような中堅の出版社」とは幻冬舎を指す。ここでは、新創刊予定(当時)の新書での仕事を単発に終わらせず、継続して仕事を取るための戦略が語られている。この発想自体は、別におかしくない。人間、霞を喰って生きていける訳ではないし。
その「十年間仕事をここで」取る作戦の橋頭堡と位置づけられていたのが、渦中の『新・UFO入門』(仮題『UFOとコンプレックス』)でした。話題は、胸に秘められた、シリーズ化構想へと続く。
(略)、さらにですね、まだこれは出版社の担当編集者に言ってないけれども、できればこれで「UFOと○○」「UFOと△△」「UFOと××」というシリーズを、少なくとも四、五冊は出していければ、と考えています。このシリーズで、この新書の一つの顔ができるっていうような形で売り込んでいく。
再読して思ったことは、『新・UFO入門』が一冊で(企画として)完結している本だったならば、クレームへの対応も違っていたのではないかということ。もしかしたら、10年後まで見越した色々な思惑や、打ち立てた構想に対するこだわりが邪魔をして、普段では考えられないような迷走をしてしまったのではないかなと…。
なるほど。
こういった前提条件があるのなら、唐沢氏の不可解な対応の「動機」が理解できますねえ・・・
とても参考になりました。ありがとうございます。
コメント by 通りすがり — 2007年7月28日 土曜日 @ 17:15