1983年版「俺の嫁」

俺の嫁(おれのよめ)
架空のキャラクターに対する愛情表現のインターネットスラング。
未婚者がネット上で用いる場合、(お嫁さんにしたいほど)『可愛い!』『萌える!』『大ファンです!』『好き!』などといった意味で使われる。
例
* 「長門は俺の嫁」
* 「3翠嫁」(3分以内にレスが無ければ翠星石は俺の嫁)
昨今、ニコニコ動画に乱舞する「俺の嫁!」発言に眉をひそめ、「ゆとり世代が」「動物化が」「オタクのライト化が」と、オタクの行く末を憂う方も多いかと思う。
しかし、悲嘆に暮れる識者の皆さんは、落ち着いて、下図を見て頂きたい。雑誌『comic BOX JR』創刊2号(1983年発行)の読者投稿コーナーの一部である。(クリックで拡大)
見よ!おのおのが、当時のアニメ&漫画の人気キャラクターを挙げ、力いっぱい「俺のものだ!」と主張しているではないか!つまり、四半世紀前からあんまり変わってない!?
細かく読めば、自嘲的に「パターンだな」とすら書かれている。83年の時点で「○○は俺のもの」が定型的フレーズとして確立しており、同系統のハガキをまとめて載せられる程度には浸透していた事態が推測できる。
つまり「俺の嫁!」は、オタクにとって、25年前に既に通過した地点なのではないか。言い方が変わっただけで(※)!となれば、老オタクは後進の叩き方を熟考する必要があるし、若オタクは新ジャンルを創造したような凱旋気分に浸っている場合ではないだろう。
(※強いて言えば、「もの」から「嫁」へ。所有物から、対等のパートナー(人格)へといった認識の変化はあったのかも知れない。もしかして、無意識下で「二次元児童に対する人権意識」の芽生えが?)
『うる星やつら』は偉大です。まさに「ウチのダーリンだっちゃ」。「俺の嫁」はいわゆる「ハーレムアニメ」の反動という面もあるようです。
コメント by Nishinomaru — 2008年3月28日 金曜日 @ 8:53
『うる星やつら』のアニメ放送開始が81年。初劇場版『オンリー・ユー』公開が83年なので、ちょうど人気絶頂の時期でしょうか。『超時空要塞マクロス』が82年~83年。
確かに、言われてみれば、全ての前提として「君なら誰を選ぶ?」と言わんばかりの、ハーレムアニメの登場が大きそうですね。オタクは、その無言の問いかけに答えただけだ。あくまでも、用意された舞台に上っただけなのだ!…という見方もできそう。
コメント by bono — 2008年3月29日 土曜日 @ 0:18
あのぅですねー、まず基本的なところからいきますと、これは読者投稿コーナーじゃないですよー。
「よいこの私物化宣言!!」というネタ募集コーナーでーす。当時、『アニメック』や『OUT』で頻繁に行われていたパロディー企画ですねー。この雑誌には「voice to voice」っちゅう、立派な読者投稿コーナーがあるのでね、そちらとは別のカテゴリと考えるべきじゃないでしょーかねー。
それから「パターンだな」と自嘲してるのは、このネタコーナーのネタの書き出しが「○○は僕のものだー」となっていることをですね、「パターンだな」と茶化している<だけ>のものであってですねー、「83年の時点で『○○は俺のもの』が定型的フレーズとして確立」していた証左でもないですしー、「同系統のハガキをまとめて載せられる程度には浸透していた」というのも全くの誤解であったりするのです。
まあね、78年生まれなら「ガンダム」や「イデオン」はもちろん、「マクロス」にも「Zガンダム」にも間に合わなかったカワイソーなおたく第3世代だからこのくらいの文献の読み違いは笑止って感じだけどさ。エラソーなこというなら、アニメックとOUTくらいは全部読んで、時代の空気っちゅーもんをもっとリアルに感じてからにしてもらいたいですなー。かっこわらい
コメント by ななこは俺の嫁 — 2008年11月14日 金曜日 @ 12:59
嫌味な老オタク氏だな……まあそれはさておきこっそり付け足し
ネタとはいえ一つのコーナーが確かに成立したのは事実。
ただ、ここで散見される「私物化」・「俺の物」・「女房にしたい」云々は
特に引っかかりのない普通の言い回しで、符丁として完成していない。
個人の感情をあらわにする恥ずかしさ・後ろめたさも残っていたかもしれない。
しかし、やがて「萌え」の登場など時代の変化を経て、「俺の嫁」という開き直った
(よりダメなのにむしろ洗練された)フレーズが広く受け入れられるようになり、
オタクは2Dキャラへの愛を堂々と公言するようになったのではないか。
このへんはネットの発達や日本文化の性質にも深く関わっていそうだ。
コメント by 鱗粉 — 2009年3月24日 火曜日 @ 14:30