2008年5月7日 水曜日

自称オタキング逃亡事件 はてなブックマーク

[分野: オタク時事] 文:bono (投稿日:2008-05-07)
オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258) オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258)
岡田斗司夫


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◆感想の前に
 『オタクはすでに死んでいる』は、「オタク文化」の死について書かれた本です。

オタクとマニアの違いは何か?それは「民族であるか、ないか」です。「オタク文化」という言葉はあるけれども、「マニア文化」という言葉はない。(『オタクはすでに死んでいる』P.159)

 しかし「オタク文化」は、10年前、同じ筆者が作った言葉です。

東大オタク学講座 東大オタク学講座
岡田 斗司夫


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(略)僕は学生たちにいきなり、「よし、今度は『オタク文化論』だ!!」と宣言した。『オタク文化論』この言葉に、まわりの学生たちも僕も、ゲラゲラと大笑いした。まず「オタク」と「文化」が合わない!しかも、それに「論」がついている!!に、似合わない、似合わない!!みんな大喜びしてくれた。(1997年発行『東大オタク学講座』あとがきより)

 「1997年に提唱された概念(オタク文化)」が死んだと言う。殺したのは、2000年代に入って台頭した「萌え」らしい。「オタク文化」の実質的な寿命は3年間ですか?
 
◆『オタクはすでに死んでいる』を読んで

 読みながら頭に浮かんだのは、ヴァレンヌ逃亡事件でした。

 革命の機運を嫌い、国王ルイ16世が国外逃亡事件を起こす。それまで多数を占めた国王擁護派(「王様には恩があるし、革命後も名誉職として残しておけば良いんじゃない?立憲君主制ってことで!」)も呆れ果て、「王なんて別に要らなくね?ガチ共和制で良くね?」へと世論を急変させた事件です。そして王は処刑台へ。

 岡田斗司夫氏が90年代後半に果たした役割は大きい。オタク内外へのスピーカーとなって、オタクのコンプレックスを軽くしてくれた。最近は「首をかしげざるを得ない発言」も多いけど、「自称・オタキング」には恩がある。突飛な発言も、「自称・オタクの王様」の芸風ってことで良いじゃない。大先輩の言動、目くじら立てずに暖かく見守っていこうよ!と思っていた。

 でも、読後に考えが変わった。オタク業界から逃げるだけならまだしも、井戸に毒を投げ、民家を焼くような焦土作戦。国土をメタメタにした上での逃亡、それがこの本から受けた印象でした。対外的な影響力があるだけに性質が悪い。

 例え王様のことが好きでも、大恩があっても、芸人として面白いと認めていても、オタク圏外への意思表示として「処刑」は必要だったのかもしれない。(つづく)

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