2008年6月25日 水曜日

アニメ誌の転機、初めての金田伊功特集 はてなブックマーク

[分野: アニメーター|金田伊功] 文:bono (投稿日:2008-06-25)

談話室オヤカタ:#153 廣田恵介さんがライターという仕事について語る→音源はこちらのバックナンバー参照
 アニメ評からグラビアポエムまで、仕事の幅が広い廣田恵介氏をゲストに迎え、「ライター」について語る回 後編。その中で、レギュラーの池田憲章氏が、金田伊功特集担当時のエピソードに触れていた。

 TVアニメ初期のスター・アニメーター金田伊功。『アニメージュ』1980年11月号において、メディアは初めて彼の特集を組んだ。ページ構成を担当したのは、池田憲章氏。カラー8ページにわたる特集で、マニアックかつ高密度だ。

 『アニメージュ』初代編集長の自伝『あの旗を撃て!』の寄稿にも、詳しい話が載っていますが、当時の池田氏は、アニメージュ編集部を横目で見ながら、特撮ムックの仕事をしていたそうです。それが、ある日、偶然、金田特集のうわさを耳にしたところから時代の転機が訪れる。

大塚康生、小松原一男、宮崎駿とアニメーターの作家特集が載るようになり、これならいずれ手伝えるかもしれない…と思っていたとき、『アニメージュ』編集部の方からとんでもないセリフが聞こえてきました。
「金田伊功ってアニメーターがいいらしいよ」
 ところが、聞いていると、編集部の誰も彼の仕事を知らず、見ていなかった。『アニメージュ』はファンの評判を聞くとすぐ特集を決め、そこから調べ始めて何にも知らない編集者が特集をまとめていくやり方が得意でした。これは週刊誌なら当たり前の記事の書き方で、専門家のコメントやファンの証言でまとめていく。『週刊アサヒ芸能』出身の編集者が多かったからでしょう。(『あの旗を撃て!』より)

 金田特集を組むことは決定している。でも、編集部の誰一人として金田作画を見たことが無い!そんな状況を不安に思い、声をかけたところから金田特集での抜擢に繋がり、部外者から一転、池田氏は80年代の『アニメージュ』に大きく関与していく。

 ここには、2つの転機が同時に含まれています。1つは、個性派アニメーターに初めてスポットが当たったアニメ誌の企画の転機。もう1つは、『週刊アサヒ芸能』(ヤクザ記事が売りのゴシップ誌)のスタッフを中核にスタートした『アニメージュ』に、アニメファン出身のライターが書きはじめた転機。

 アニメ・ジャーナリズムの歴史的な出来事を、生き証人の口から聴ける凄い機会です。普段聴かない方も、是非聴きましょう。

あの旗を撃て!―『アニメージュ』血風録
あの旗を撃て!―『アニメージュ』血風録 尾形 英夫

オークラ出版 2004-11
売り上げランキング : 358334

Amazonで詳しく見る by G-Tools

この記事のURL:http://xn--owt429bnip.net/2008/06/kanada.php

トラックバックURI:http://xn--owt429bnip.net/2008/06/kanada.php/trackback

コメント (このコメント欄の RSS フィード

コメントはまだありません。

コメントをどうぞ

改行と段落タグは自動で挿入されます。メールアドレスは表示されません。利用可能な HTML タグ: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

(必須)

(必須)


WordPress 2.9