望 〜都の空から
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【経済】百貨店離れ銀座地区も 西武有楽町店閉鎖へ2010年1月27日 朝刊 
 セブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店「そごう・西武」の西武有楽町店を年内にも閉鎖する方針を固めたことが、二十六日分かった。東京・銀座に隣接する好立地ながら、景気低迷による「百貨店離れ」や、低価格の衣料品専門店の台頭を受け、同店の採算改善が見込めないと判断した。同グループは百貨店の不採算店整理を進めており、今後も店舗の統廃合が続きそうだ。 同店は一九八四年に開店。ファッション性の高い衣料品を並べて若い女性を中心に人気を集め、ピーク時の九二年度は約二百七十億円を売り上げていた。しかし、近年は銀座地域のユニクロに加え、外資系の低価格カジュアル衣料品店などに押され、赤字が続いていた。 セブン&アイは、傘下にコンビニエンスストアやスーパー、百貨店などあらゆる小売り事業を持つが、百貨店事業は赤字体質が続いていた。同グループは昨年八月にそごう心斎橋本店(大阪市)、同年九月には西武札幌店(札幌市)を閉鎖するなど、百貨店事業のリストラを進めている。 ◆好立地重荷低価格志向に勝てず<解説> 西武有楽町店が年内の店舗閉鎖に追い込まれた背景には、底なしの消費不況から抜け出せない百貨店業界の厳しい経営環境がある。消費者の徹底した低価格志向は強まるばかりで、各百貨店は既存店舗の閉鎖というマイナス戦略しか打ち出せない状況だ。 旧態依然とした価格帯や高級品中心の品ぞろえ…。消費者の買い物スタイルの変化についていけない百貨店の客離れは、この数年、加速度を増していた。そこに一昨年秋、リーマン・ショックが直撃した。世界規模の不況の中、節約志向はブーム化し、客足はユニクロやニトリに代表される低価格路線の専門店、海外発のファストファッションに次々と流れた。 各百貨店はセールの連発などで急場をしのぐ事態に。だが西武有楽町店の場合、金融危機の影響が薄れ始めて以降も客足が戻らず、売上高が前年同月比5〜10%減が続いた。これに有楽町という超一等地の高額な賃借料が重くのしかかった。 各百貨店は、不採算店の撤退に次々と踏み切っており、三月には伊勢丹吉祥寺店(東京都武蔵野市)の閉鎖も控える。 凍る消費に悩む百貨店業界にとって、もはや有楽町ですら消費者に“逢(あ)える”場所ではなかったようだ。 (経済部・坂田奈央) 
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