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【栃木】

“非出会い系”新たな温床に 県内で性犯罪被害急増 

2010年1月27日

少女らの書き込みが続く携帯電話の交流サイト。最初は趣味などの気軽な話題でも、後に犯罪に発展するケースが少なくない

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 インターネット上で自己紹介をする「プロフ」などのサイトを利用した少女らが性犯罪の被害に遭うケースが県内で激増している。一昨年のゼロ件に対し、昨年は二十一件発生。県警は犯罪の舞台が“出会い系”から“非出会い系”に移ったとみて警戒を強めている。ただ、非出会い系に法規制はなく、被害防止には利用者のモラルに頼らざるを得ないのが現状だ。(横井武昭)

 「友だちになってくれるかた大歓迎。男女問わず絡んでね。いつも西那須野−矢板まで電車で通ってるよ」(りなぷん、栃木県、十六歳、女性)

 「カレシ立候補しちゃーわねっ。電車通学かな。送り迎えしたげたいなっ」(まにある、茨城県、四十二歳、男性)

 携帯電話の有名交流サイト。伝言板に載る少女の書き込みに、大人たちは先を競って返信する。仲良くなれば、安易に個人情報を交わしてしまうことも少なくない。

 面識のない男女が交際を目的に利用するのが出会い系サイト。一方で、こうした携帯サイトやプロフ、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などの非出会い系サイトでは、同じ趣味や関心を持つ人が交流相手を探す。出会い系が運営者に届け出を義務付け、児童・生徒の利用を防ぐために年齢確認を厳格化したのに対し、法規制のない非出会い系は気軽に利用できる。

 「そこに落とし穴がある」と県警少年課は指摘する。昨年、十八歳未満の少女らが被害に遭った児童買春・ポルノ禁止法、県青少年健全育成条例違反事件は三十九件。出会い系の四件に比べ、非出会い系がきっかけになったケースは二十一件に上った。出会い系が二十八件を占めた前年とは対照的だ。

 宇都宮市では昨年六月、女子高生(17)に二万円を渡してみだらな行為をしたとして、会社員の男(30)が児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された。女子高生はほかにも二十〜五十歳の男三人と関係を持っており、県警の調べに「ブランド品を買うお金が欲しかった。皆携帯の交流サイトで知り合った」と話したという。

 同課は「出会い系が規制されて書き込みが非出会い系に移り、新たな犯罪の温床になった」と分析。思春期の少女は、最初はその気がなくても大人と共通の話題で夢中になり、性的関係に至るまでの垣根も低いとされる。

 「ネットは相手の顔が分からず危険が潜む。保護者は子どものサイト閲覧に注意し、有害サイトへの接続を制限するフィルタリング機能を設定してほしい」(同課)と呼び掛けている。

 

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