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きょうの社説 2010年1月27日
◎県の空港戦略 新幹線開業後の布石も大事
日航再生や首都圏空港の発着枠拡大、日米の航空自由化(オープンスカイ)などに伴い
、日本の航空政策が大きな転機を迎えるなかで、今年は地方空港にとっても足腰を強化する新たな一歩となる。県の新年度当初予算案には、小松、能登空港の需要喚起策や、空港を基点にした誘客促 進策などが盛り込まれた。不況や新型インフルエンザの影響による搭乗率の伸び悩みで行政のテコ入れ策は必要としても、2014年度末の北陸新幹線金沢開業を考えれば小松―羽田便の利用者減は避けられず、県の中長期的な空港戦略は、航空業界の新たな気流を読みながら、新幹線開業後の影響にも目を凝らすという、他の地域とは違った視点が求められている。 7月からは小松−成田便を2便化する実験が1年の期間限定で始まる。これは新たな海 外乗り継ぎ需要を掘り起こすうえでも意味がある。搭乗率が伸び悩む小松―静岡便の行方も、地方間路線の可能性を占う試金石となる。海外路線の充実は地域の国際化に欠かせず、好調な台北便などは路線拡充の余地がある。新幹線時代を見据え、1県2空港の強みを生かす布石を今から打っておきたい。 経営破綻した日航の事業再生計画は、航空業界の今後の方向性を示している。象徴的な のは燃費効率の悪いジャンボ機を廃止し、中小型機を増やす計画である。小型機導入で先行する全日空などを含め、国内路線は、大型機による一括大量輸送から多頻度少量輸送へと移行する可能性が大きい。実際、日航が赤字撤退した地方路線には地域航空会社が相次いで参入を決めている。そうした一連の動きは、小松、能登空港にとっても無視できないだろう。 羽田空港の発着枠拡大に伴うハブ化構想が実現すれば、羽田を基点にして海外、国内路 線網は飛躍的に充実する。新幹線開業後の小松―羽田便も、乗り継ぎ便としての需要は確実に高まることになる。航空各社に対しては、乗り継ぎネットワーク定着に欠かせぬ使い勝手のよいダイヤ編成や乗り継ぎ割引の拡充を引き続き求めていきたい。
◎普天間移設の迷走 軽い首相発言の責任重い
米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山由紀夫首相が辺野古へ移設を盛り込んだ現行計画
を検討する方針を重ねて強調したのは、名護市長選で示された民意がどうあれ、沖縄県外・国外への移設が極めて難しい現実を無視できないからだろう。米側は現行計画の履行を求める姿勢を崩しておらず、鳩山首相が言う5月末までの決着を図ろうにも、辺野古に代わる候補地を探し出し、間髪入れず地元と米側の合意を得るのは至難の業である。沖縄県も名護市も辺野古移設を受け入れていたにもかかわらず、鳩山首相は県外・国外 移転の幻想を振りまき、決断を先送りにしてきた。名護市長選で民主党も推薦した反対派市長が誕生し、本来なら地元の民意を尊重しなければならない状況下で、あえて民意にそむく発言をせざるを得ないのは、鳩山首相が自分で自分の首を絞めてきた結果である。 安全保障上の問題を名護市の有権者に委ねておきながら、反対の民意が示されると、手 のひらを返したように、「自治体の反対を斟酌(しんしゃく)していたら何もできなくなる」(平野博文官房長官)と言われれば、地元が怒るのは当然だ。 移転問題を迷走させた鳩山首相の責任は重いが、それでも「ゼロベースで移設先を決め ていくことに変わりはない」として、辺野古に移設する現行案を選択肢から除外しない考えを示したのは理解できる。新たな移転先が見つからなければ、日米が合意した普天間返還が白紙に戻り、現状が固定化されかねない。これまでの軽々しい発言を真摯(しんし)にわび、再度地元にお願いしていくしかない。 一方、社民党の福島瑞穂党首は反対派市長の当選を無邪気に喜び、「民意は重い」とし て、改めて県外、国外移設の実現を訴えた。国民新党の下地幹郎政調会長も「民意を大事にしないでこの問題を議論するのはおかしい。ゼロベースではなくなった」と述べた。辺野古への移設案を排除するというなら、与党の一員として安全保障上の責任をどう果たすつもりなのか。政権担当能力に改めて疑問符を付けたくなる発言だ。
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