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インタビュー:10年度補正予算は必至、デフレ長期化は政策に責任=竹中氏
 [東京 22日 ロイター] 竹中平蔵・元経済財政担当相(慶応大学教授)は22日、ロイターのインタビューに応じ、2010年度予算案は緊縮予算であり、いずれかの時点で補正予算が必要だとの認識を示した。
 日本経済は好調な中国経済と財政政策によって緩やかな回復が見込まれるが、政治状況が最大のリスク要因だとし、7月の参院選後に政策の大転換が迫られるだろうとの見通しを示した。
 また、需給ギャップがほとんどなかった時期でも日本がデフレ状況にあったのは「金融政策の責任だ」と述べ、日銀には消費者物価1─2%のインフレターゲットを設定すべきと迫った。目標設定することによって責任が生まれると強調。結果責任が伴わない現状を皮肉って、「日銀はいま世界最強の中央銀行だ」と語った。
 一方、鳩山政権の経済運営については「本来、政府がやるべきことをやっていないで、政府がやってはならないことをやったこと」が最大の懸念材料だと指摘。日本航空(JAL)<9205.T>支援策はモラルハザードを生むと批判した。
 インタビューの概要は以下の通り。
 ──鳩山政権の経済運営の問題点は。
 「日本経済はいま緩やかに回復しているが、近隣諸国に比べて極めて弱い。それをなんとか支えているのが中国と財政要因だ。中国経済は今秋、上海万博が終わりどうなるか注意しなければならないが、今年日本のGDPを越えるだろう」
 「問題は中長期の成長戦略と当面の問題としての財政政策がある。今一番懸念されるのは、現政権が本来、政府がやるべきことをやっていないで、政府がやってはならないことをやったことだ。
 本来やるべきこととは、きちんとしたマクロ経済管理をすること。2009年度の財政赤字は約53兆円程度となる見通しで、これに対して10年度は44兆円。緊縮幅は9兆円、GDPの1.8%に相当する極めて大きな緊縮予算だ。私たちが(小泉政権で)財政赤字削減のためにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を目指した時期でも、(初年度の)2001年の赤字はGDP比5%で、それを10年でゼロにしようとした。つまり、平均してGDP比0.5%程度しかデフレ圧力を加えないようにしようとした。これに対して今回は1.8%。いかにも大きいが、どのようなマクロ経済管理をしていくかの見通しが示されていない。公共事業は18%もの大幅削減だ。
 『新しい公共』という方向は結構だが、公共事業で1兆円出すときは実需が1兆円増える。しかし、今回のように子ども手当てなどは1兆円出しても実際に支出されるのは3分の1から2分の1程度。需要に結びつかないので、景気刺激効果は圧倒的に弱い。
 マクロ経済管理という政府が一番大事にしなければならないことをやっていないのが最大の懸念だ」
 「一方で政府は、極度の社会主義的な政策を行っている。本来行うべきでないことをやっている。典型がJAL支援。政府支援はどういう理屈で正当化されるのだろうか。政府が個別企業に介入する場合、まずはシステミックリスクがある場合。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)[GM.UL]のようなパターンも考えられるが、米国でもGM救済には根強い反対があった。それでも政府があえて踏み込んだのは規模が大きく国民生活に影響するため。加えてGMが米産業の象徴で社会的影響も大きかった。しかし、JALが果たしてそうなのか。このパターンにも当てはまらない。これは明らかにモラルハザードを起こす」
 「今の政権は、やるべきことをやらないで、本来やるべきでないことをやっている。この国はどうなるのか、この国の市場経済はどうなるのか不安がつのっている」
 ──今年の日本経済のパスは。 
 「W字型(回復)とみる。リーマンショックでストーンと下がったのを中国経済と財政で支えている。ただ、このような緊縮財政では続かない。どこかで調整局面があるだろう。7月の参院選までは政府はあの手この手で経済を持たせる。しかし、7月の参院選後には政策の大転換を迫られるだろう。
 純粋に経済の流れだけで言えば、今年は緩やかな回復の年だ。しかし、日本の場合、政治の混乱で政策が混乱し、基本シナリオである緩やかな回復にショックを与える」
 ──追加の財政政策の必要性は。 
 「当然出てくる。1.8%の緊縮財政は大きすぎるし、公共事業も大幅なマイナス。どこかで必ず補正予算を組まなければならなくなる」
 ──金利面で、追加国債発行して対応しても問題はないか。
 「問題は経済財政の中期展望を示していないこと。今年とあと1年くらいは財政を拡大させるが、その後は社会保障まで入れたカネを切り詰め中期的にはきちんとさせるとする(経済財政の)中期シナリオ示さなければならないが、それが示されていない」
 ──政策の大転換とは。
 「(フランスの)ミッテラン政権が今の民主党と同じことをした。国営化や、家族手当を行って経済はガタガタになった。しかし、その後、自由主義経済を取り入れ、欧州統合と言ってグローバリゼーションに取り組んで10年の長期政権になった」
 ──日本経済のリスク要因は。 
 「一番大きいのは政治状況。もうひとつ、企業部門がシュリンクしていること。特に金融部門では、バーゼルIIの関係で金融仲介機能が萎縮している」
 ──金融政策は十分か。
 「今回の成長戦略で優れている点は実質成長率より名目成長に着眼した点で、実現するには、15年間続いてきたデフレと決別しなければならない。需給ギャップが大きいためデフレと言われるが、重要なことは需給ギャップがほとんどなかった時期でも日本はデフレだった。これは金融政策に責任がある。金融政策の役割は極めて重要だ。しかし、15年間デフレが続いても、日銀は責任を取ってこなかった。どこかで日銀が動かざるを得なくなる。ベースマネーを増やせるのは中央銀行だけだ」
 ──具体的には。
 「マネーを出すこと。国債を買い増せばよい」
 ──ターゲットは必要か。
 「物価を1─2%にすることを実現させる。インフレターゲットを設けるべきだ。手段は日銀が自由にやればよい。日銀の独自性も含めて正しいやり方だ」
 「日銀はいま世界最強の中央銀行だ。結果責任を取らない。(今は具体的な目標設定がなく)目標がないということは責任を取らされないということ」
 ──日本が他国に比べて景気回復が鈍いのはなぜか。成長戦略で欠けているのは。
 「改革しなくなったから。改革をしていた2003年から2007年には2%強の成長を遂げた。そのうち7割が内需。株価は80%上昇し失業者は100万人減った」
 「他の国はほとんど法人税を下げた。他の国はほとんどハブ空港を造った。近隣諸国でハブ空港を整備していないのは北朝鮮と日本だけだ。他の国はほとんどがオープンスカイをやった。日本をよくするのは難しくない。他の国で当たり前にやっていることをやればよい。それが出来ないかったのはリーダーが悪いからだ」
 「成長戦略とは、法人に対する減税と規制緩和、民営化、これを伴わない成長戦略はありえない。民営化反対、規制緩和反対、法人減税反対だったら、根本的な転換が必要だ」
 ──現政権は郵政民営化を見直す。 
 「基本方針で方向は既に決まっている。ゆうちょ銀行は銀行法適用除外し、中小企業金融・地域金融を行うと定めている。つまりは、財政投融資機関として復活するということだ。
 財投機関の復活宣言だ。なら、公社に戻すほうがよほどましである。そのほうが国のガバナンスが効く。中途半端な民営化が、一番始末が悪い」
 (ロイターニュース 吉川裕子記者 佐野日出之記者)


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金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第262号/金融先物取引業協会(会員番号1509)
※外国為替保証金(証拠金)取引業界における「口座数」「預かり資産」の2部門。期間2009年3月までの5年間。
参考資料:(株)矢野経済研究所『2009年版 FX(外国為替証拠金取引)市場の動向と展望』