例えば、戦闘機にしても、国産化路線は厳しくなるかもしれない。機体もエンジンもレーダーも、全部やるというのは予算が十分ではありません。イスラエルのように、機体とエンジンをあきらめて、レーダーに特化するようなことも必要かもしれません。
「サウナの中の我慢大会」
―― 民主党政権では防衛予算も抑制の可能性が大きいですが。
産業界では撤退の動きが出てくるでしょう。特に部品分野では。そもそも、機体が4社、エンジンが3社、ヘリも3社というのは多過ぎます。これから業界再編の動きが出てくるのではないでしょうか。
例えば、富士重にしても、相当厳しいでしょう。ただ、他社が引き受けるかどうか。今はサウナの中の我慢大会のように、他社が倒れるようなことを待っているような状況ですから。
―― 民主党政権になったことで、防衛省の政策がどう変わっていくのでしょうか。
そもそも、防衛省は政策官庁ではありません。人材もやはり乏しい。汚職で逮捕された守屋氏の事件以降、商社の人たちにも極力合わないような感じになっている。今までも商社が情報をもたらしてくれたのに。
海外の航空ショーに行って、情報を取って来られているのか疑問です。情報がないと、研究開発も十分にできない。
―― 民主党政権に期待することは。
やはり防衛や航空機に関する基本法を作って欲しい。防衛省や経済産業省などの予算を集めて、戦略的な投資が必要です。このままでは米国の防衛産業の人たちも言っていますが、ガラパゴス諸島のゾウガメのようになってしまう。非常に弱い体質の産業のままです。
そして、欧米大手は積極的な買収をやっている。現段階では日本の防衛産業は買えないでしょうが、将来はどうなるのか。欧州のヘリコプター会社が日本の整備会社を買ったりしています。
外国の防衛産業は日本で整備ができない、とされてきました。だが、それができるようになると、日本の防衛産業の重要性が低下しています。大切なのは国家としての戦略です。
本コラムに関連した連載記事を、日経ビジネス2010年1月4日号から1月25日号まで掲載しました。
Last Chance ―― 航空機産業の活路
日の丸戦闘機は飛ばず/「土光エンジン」道半ば/ほか。
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