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文化のココロ

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皆さんは「レコーディング・ミュージシャン」を、ご存じだろうか。
レコーディング・ミュージシャンとは、スタジオ・ミュージシャンとも呼ばれる、フリーの音楽家のこと。高度な技術を持ち、演歌、ロック、ポップス、クラシックなど、ジャンルに関係なく、楽譜を渡されれば一発でプレイが出来る、演奏のスペシャリスト達。映画、ドラマ、CM、カラオケ、バックバンド等、幅広く活動し、日本の音楽文化を担う、重要な存在だ。
そんなミュージシャン達が、NPO法人として活動しているという。ミュージシャンがNPO団体というと、「どういう活動をしてらっしゃるんだろう?」と、ぱっと思いつかないが…。これには深い理由があった。
今回、NPOとなって10周年を迎える『NPO法人RMAJ』(Recordimg Musicians Association of Japan)さんの記念パーティに伺って、理事長の篠崎正嗣さんにお話をきいた。

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10周年記念パーティは盛会でした!

ーーどういった活動をされているんでしょうか。
「音楽家としての権利を守るために活動しています。具体的には『著作隣接権』と呼ぶんですが。 もともと、私たちの基礎になる団体が出来たのは、戦後まもない頃なんですが、その後『スタジオミュージシャンズクラブ(SMC)』という団体が作られまして。世の中に発言していけるように、NPOに進化して、『NPO法人RMAJ』になったんです。他にもミュージシャンの団体はあるんですが、その中のひとつですね。
『著作隣接権』はですね、簡単に言うと、僕らが演奏した音楽を、テレビや放送やステージなどで使用する際に、無料で使用しないでください、ということです。
作詞・作曲家に、著作権があるというのは、皆さんご存じですよね? 演奏を担当している僕らにも権利があるんです。レンタルCDとか、家庭内でのダビングにも、僕らの権利が発生するんです。 レンタルCDは、どれだけ貸されたか各店舗でカウントした数値を集計して、上位1000位までのCDにたずさわった人たち、演奏者、製作会社などに、お金が分配されるシステムになってますね。」

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理事長、篠崎正嗣氏。もちろんミュージシャン(ヴィオリニスト)。

ーー家庭内でのダビングには、どうやって課金されているんでしょうか。
「個々のダビングに課金するシステムの整備は、とても困難なので、録音する機器やCD-Rなど、ハードの価格に含まれています。あくまで高品質な複製が可能な、デジタル方式のレコーダー、DAT 、CD-R、MDなどが対象です。でも機器がどんどん新しくなってしまって、ハードディスクやフラッシュメモリのタイプによっては、新たな対象機器としてメーカーが合意してくれないので、払ってもらえないんですよ。高額ではないんですよ、ひとつの機器に対して数十円とか、そういう単位なんですが。
欧米では、新しいタイプの機器やメディアにも課金されているんです。日本のメーカーも、海外では対象機器として払っているんです。パソコンやハードディスクの問題は、難しいですね。
あと、いちばん困っているのは、違法コピー、違法ダウンロードですね。僕らの演奏、コンテンツっていう知的財産を、違法サイトからコピーするっていうのは、出来れば止めて欲しいですね。
そういうことが続いて、音楽業界が正当に儲からなくなっていくと、新しいソフト制作の予算も削られていって、いいものが出来なくなっていくんです。音楽業界自体が、縮小していってしまいますよね」


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パーティ中には、RMAJ会員による生コンサートも。

ーー音楽って形のないものだから、違法ダウンロードしてしまう側に、あまり罪悪感がないのかもしれないですね。
「でもね、ユーザーの皆さんは問題意識があるんですよ。昨年12月に、音楽配信会社の協力を得て、動画共有サイト『ニコニコ動画』を利用して、『私的録音録画補償金制度を守るべきですか』というアンケートをとったんですが、6割がハイと回答してるんです。
リスナーの皆さんは、このままだとソフトが無くなってしまうことを、知っているわけです。そういうことを皆さんにもっとアピール出来たら、と考えています。
あと音楽ファン自体を増やしたい、という思いもあります。そこで生演奏のコンサート活動をしています。アピールするために色んなことをやってみたんですが、やはりライブで、五感で感じて頂くのが一番なんですよね。音楽を好きになって、音楽を守って欲しいですね」

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全国各地でコンサート活動も(これは10年間の公演のチラシ群)。

音楽が無くなったら、困る。非常に困る。
それにはどうしたらいいのか。楽しめる、感動するものには、普通にお金を払う。そういうシンプルな気持ちで、敬意をもって音楽コンテンツを買っていけばいいのではないだろうか…と思う。

【参考サイト】
NPO法人RMAJ
私的録音補償金管理協会
芸団協・実演家著作隣接権センター CPRA(NEWS online 09.1.28)

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大塚 幸代

大塚 幸代(おおつかゆきよ)
ライター。現在「東京女子プロジェクト」に参加中。
> 個人サイト 日々の凧あげ通信


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