
●物語
今から、丁度1年前。
俺たちが演じた『オペラ座の怪人』の舞台上で、
一人の人間が死んだ。
…殺されたんだ。そう、俺は思っている。
その日の帰り道、
いつも通りの道のりをいつも通り歩いていると
突然目の前が真っ暗になった。
次に目を覚ましたのは、どこか知らない舞台の上。
俺を含め6人、演劇部全員がそこに連れて来られたようだ。
唐突に放送が流れ出す。
聞こえてきた変声機を通しているであろうふざけた声は
自分はファントムだと名乗った。
ファントムは言った。
―――今からキミたちには、1年前と同じ、オペラ座の怪人を演じてもらう。
演じ損なったらキミたちを殺す。
演技を放棄しても、キミたちを殺す。
この舞台で、真実が明らかになる。
開幕のベルが鳴り響く。
命がけの舞台が始まる。
…いつも聞きなれたその音が…―――こんなにも、恐ろしい、なんて。
●登場人物
鈴村 葵京(スズムラ キキョウ)
とある学校の演劇部に属する2年生の少年。声変わりがまだなので、よく女役を演じさせられる。
容姿も実力も頭脳も全て自分より優秀な兄が居るため、性格は卑屈で少し攻撃的。
本人に自覚はないが、とても綺麗な声をしている。
山田 祐一郎(ヤマダ ユウイチロウ)
葵京の幼馴染みかつ友達。内気で心優しく、いつも微笑んでいる優柔不断な少年。
葵京と一緒の部活が良い、ただそれだけの理由で演劇部に所属している。
いつもは頼りないが、本番には強いという一面を持っている。
鈴村 紅涼(スズムラ クロウ)
葵京の一つ年上の兄。中性的で綺麗な外見をしているため、よく女役を演じている。
演劇部の中では、自他共に認める一番の実力を持っている。
誰に対しても冷たく接するが、とりわけ弟に対しては冷酷に接する。
保阪 壽(ホサカ コトブキ)
演劇部に属する、葵京の同級生の少年。声変わりはしているがもともと声が高く、
また綺麗な顔を自負しているので、率先して女役を演じようとする目立ちたがり屋。
性格は元気勝気、少しサボり癖がある以外は良い子。
柳 瀬大(ヤナギ セダイ)
演劇部に属する、葵京の同級生活かつ壽の親友。とにかく無口で自己表現が苦手。
音響や舞台演出に興味があり、演劇部では唯一の裏方。
壽や紅涼には劣るが、結構綺麗な顔立ちをしている。
佐原 雅之(サハラ マサユキ)
演劇部に属する、紅涼の同級生。明るくいつも笑っていて、動揺することはほとんど無い。
冷静すぎることがあり、たまに空気を呼んでいない発言も目立つ。
かつての演劇部顧問である市野先生とはイトコの関係で、一番付き合いが長い。
市野 昌親(イチノ マサチカ)
かつての演劇部顧問。今から一年前に舞台上でナイフで喉を掻き切り死んでしまった。
舞台が生きがいで、生徒思いで生徒に好かれる先生だった。
●演劇開始
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