米国内では普天間基地問題を眺める視点がいくつかある。 一つは米国が絶対に譲歩できない問題だという保守派の視点だ。 ジョージタウン大のビクター・チャ教授は、「反米がいけないのか」という客気で米国に立ち向かった盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の失敗を繰り返すなと鳩山首相に忠告している。 一方、ハーバード大のジョセフ・ナイ教授は普天間基地のため50年の日米同盟が損なわれるのは米国の損失だという立場だ。
第2次世界大戦の勝利で覇権的な地位を獲得した米国は、欧州と日本を自由陣営の代表選手として重宝してきた。 冷戦の終息と同時に米国の懐から抜け出して分家した欧州は欧州連合(EU)という名前で一家を築き、国際社会の責任ある一員として役割を果たしている。 北大西洋条約機構(NATO)という同盟の絆は維持しているが、性格はグローバル同盟に変わった。 一方、体は大人になっても相変わらず親の保護を受けている日本としては、自国の立場を息苦しく感じているはずだ。 韓国も米国の思い通りによく育ったが、北朝鮮問題のためまだ親の懐を離れるのは早い。 盧前大統領の自立の試みは思春期の少女の反抗だった。
プリンストン大のジョン・アイケンベリー教授とジョージタウン大のチャールズ・カプチャン教授は先日、ニューヨークタイムズへの寄稿で、日米同盟を維持するという前提のもと、日本の対中接近を認めることで、中国と日本が東アジア統合の‘双頭馬車’の役割をするのが望ましいという見解を提示した。 EUの枠組みに縛られた統一ドイツがフランスとともに欧州統合の両軸を形成したように、‘チャイパン(Chipan)’が東アジア共同体の中心になるようにしようということだ。 それが中国を国際社会の責任ある一員として編入・定着させる方法であり、米国はもちろん東アジアの利益にもなるということだ。
婚期を逃したオールドミスの娘のヒステリーに対処する最善の方策は適当な配偶者を選んで嫁がせたり、一人で生きていけるように分家を許すことだ。 米国は日本の手を離すことを真摯に検討する必要がある。 いかなる形態であれ同盟関係は維持するものの、日本が‘普通国家’としてより自由に身動きできるように‘裁量権’(free hand)を認める時期になった。 いずれにしても日本と中国はアイデンティティーと価値観の違いから同盟になることはできない。 娘の不平を聞きながらずっと懐に抱き続けるよりも、自立の道を開いてやるのが賢明な選択だ。 親のもとを離れるからといって絆が消えるわけではない。 日本の保護者から同伴者として、米国は役割の変化を模索する時になった。
裵明福(ペ・ミョンボク)論説委員・巡回特派員
米国はもう日本の手を離す時だ(1)