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ネットで全文無料公開の本「フリー」好調 有料版移行で収益 自身の理論“証明”

1月26日7時56分配信 産経新聞

ネットで全文無料公開の本「フリー」好調 有料版移行で収益 自身の理論“証明”
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「フリー」クリス・アンダーソン著(NHK出版)(写真:産経新聞)
 発売前にインターネットで全文を無料公開した本が、書籍の売り上げでも好調だ。昨年11月にNHK出版から出版された『フリー 〈無料〉からお金を生み出す新戦略』(クリス・アンダーソン著、高橋則明訳)は21日までに約12万部を発行。同書が説くのは、基本版を無料提供し、そのうちの一部ユーザーの有料版への移行で収益を得るというネット時代の新しいビジネス。これを自ら実行し、証明した形だ。(磨井慎吾)

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 著者のクリス・アンダーソンさんは、米IT誌「ワイアード」の名物編集長。ネット販売において“売れない商品”こそが重要な収益源になる現象を説明した前著『ロングテール』は、世界的ベストセラーとなった。

 今回の『フリー』は、昨年7月の米国での発売と同時に、2週間限定で全文を無料公開。30万ダウンロードを記録したにもかかわらず、7月下旬に「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーにランクインするなど、販売は順調だったという。

 日本でも昨年11月26日の発売に先立ち、同月13日から特設ウェブサイトで1万人限定の全文無料公開を始めたところ、ツイッターなどを中心に反響が大きく、約43時間で定員を突破。予約も相次ぎ、発売前に3刷までの増刷が確定したという。邦訳版の編集を担当したNHK出版の松島倫明さん(37)は「成功するとの確信はなかった。日本での先行例もなく、恐る恐るの決断でした」と明かす。

 同書の鍵となる概念は「フリー(無料)」と「プレミアム(割増料金)」を組み合わせた「フリーミアム」という造語だ。無料で基本版を配布して広く顧客を集め、その中の一部が有料・高性能なプレミアム版に移行することで利益が上がるという、デジタル時代のビジネスモデルを指す。

 試供品配布などに代表される従来型の無料サービスが、5%を無料で提供し、95%を買ってもらうという形なのに対し、「フリーミアム」の新しさは、95%を無料で配布し、5%から収益を上げるという点にある。大量に複製配布するコストがほぼゼロになるデジタル化が、それを可能にしたとする。その上で同書は、「デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる」と、「フリーミアム」化の流れが不可逆であることを指摘する。

 米国では同書の議論に対して、反論も含めて活発な議論が交わされている。松島さんは米国での反響について、「若い世代の間では当然だという反応が多かったが、(既成のビジネスモデルを持つ)メディア関係者からは反発が多かった」という。

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最終更新:1月26日9時13分

産経新聞

 

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