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最終更新日: 2010-01-26 10:16:20
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2009年11月25日 00:00
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北送50年=「対北親族送金」最近事情
頼りは訪北の人に託す「人便(インピョン)」

 「食っていけない。ますます食えない。大変なんだ。どうしようもないからヨギダ(ここへ)カネを送ってくれ」   
 兄が北に帰国(北送)している朝鮮総連系商工人Sさんは4月初旬、国際電話を受けた。送金の依頼だった。「現地では3月末までは普通に為替を受け取っていたようだ」とSさん。電話を受け、3軒の郵便局を回ったSさんは全部断られた。

郵便局を3軒回った

 「現金為替を受け取っていると聞いている」
 「いまは扱っていません」
 さり気なく手続きをしようとするSさんに局員の素っ気ない返事。
 Sさんは、10年前、郵便局から30万円、朝銀信用組合から30万円、合計60万円の送金をしたことがある。「金融機関も郵便局も現在、公的には送金はオール遮断」とSさんは言う。 
 国際郵便為替を扱っているゆうちょ銀行によると「北朝鮮の郵政庁との間で業務取り決めがないため北には送れない。窓口で断られたのはそれが理由」という。
 銀行送金も経済制裁しているためできないと説明している。これ以外にも外為法で、北が原産地または船積地域の場合の物品代金の送金は許可がないとできない。そのため、北への送金はすべて人便(インピョン、人伝)に頼っている。

1割の謝礼で

 人便には2通りあるという。親族本人が行くのと総連訪問団だ。他人の訪問をキャッチしてその人に託すこともある。
 「分からないように渡してほしい」。5月、Sさんは北に行く人におカネを持たせて送った。持っていくのは100万円までできる。おカネは無事親族に届けられ、Sさんは謝礼として1割を渡した。
 「訪問者の情報は現地の人間の聞き耳が確か。死活問題だから」とSさん。
 現地の関心事は日本からいつ、誰が来るのかということ。日本の姻戚のことも詳しい。帰国者世帯に訪問予定者の知らせが伝えられる。

 「近所の○○さんがこちらに来るから親戚に預けてくれ」と在日親族に情報がくる。
 そこで在日親族は北に行く人と接触し運んでもらう。ただし、5月の2度目の地下核実験で北が制裁を受けたことを現地の人は知らなかったという。 
 このように在日親族は帰国者親族のいる目的地まで行く人を探さなければならない。
 「向こうへ行っても自由に移動がきかず、移動できても平壌から元山まで車なら6時間かかる。鴨緑江沿いの市から2日かけて平壌に行った人もある」からだ。

現地の聞き耳

 訪問予定者の情報は帰国者が電話局で聞き情報を買うのだという。弟家族に送金しているTさんは話す。Tさんは朝鮮学校の同窓生たちとつきあいがある。聞き耳を立て、誰が来るかキャッチしたら交換手から詳しい内容を教えてもらうのだという。国際電話は事前申請でかけるので、日本に送金を頼みたい人は電話局に行く人を見張っている。通話する日に拝み倒して日本の親族に伝言を依頼するのだという。
 Sさんも6年前、ある同胞の訪問を受けたことがある。「(北へ)行くという話を聞いたんですが」
 その人は100万円を入院先の病院に持ってきた。「次は自分が持っていきましょうか」とも言われた。昔は100万円の人便はざらだったという。今は10~30万円が相場だ。

「人情が切れた」

 帰国者家族は2代目、3代目。いかに日本の親族の事情に詳しくても問題は起きている。日本の親族とは縁が切れ、疎遠になっているという事情だ。Tさんは「送る方も苦戦、もらう方も苦戦している」と言った。
 送金が細っているのはTさんによると、制裁名目でパイプが止まったためだが不況もある。「人情が切れた」ことも原因だ。それに「北があまりにも強引に(送金要求を)やって在日に負担をかけすぎた」ことだ。
 大金を送金している帰国者は北で地位の高い人が多い。在日親族には多額の献金が求められる。いまも在日親族はそれを嫌っている。

 Sさんは、帰国2世の現地の息子たちが在日親族に「カネを送れ」と高慢になっているとも言う。相続権を手段に送らせることもあるという。Sさんは「北に相続権があるはずがない」と思った。以前、「在日の相続権が北の親族にあるのか」と質問したこともある。1億円の遺産の場合、相続権をタテに国に半分納付し、現地直系卑属に残りを要求したケースもあると言う。
 日本円で10万円は2―3年暮らせるくらいの生活資金に相当する。
「もらい慣れているから『クントニアニダ(大したカネではない)』と言い始めた。『クントンパダボンジョックオップタ(大金を貰ったことない)』と言うから情が冷めた」
 30分で1―2万円する受信人払いの国際電話代の負担もある。NTTは電話の持ち主を確認するようになったという。支払われないケースが増えたからだ。

「送金してはだめ」

 「やはり送金しちゃだめと思う。公けにオープンに行われるなら認められるけれども、お互いに腐る。これまでと同じことを繰り返す」Sさんの所感は冷静だった。
 人便は帰国者家族に昔から重宝がられてきた。保安当局に情報を捉まれない、人からせがまれない、留守宅に泥棒が入らないからだそうだ。だが最近は行く人が少ないという。もう親がいないからだ。9割以上の帰国者家族に帰国1世の親がいなくなった。Sさんの推測では「送金を試みる人はいま何千人台でないか」。しかし最後に、「小さいカネは影響ないから自由にしてもらいたい」とSさんは言った。

(統一日報取材班)

2009-11-25 1面
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記事: 統一日報社  
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