崇教・真光(1) 〜真光との出会い〜



 昔々ある千葉の田舎町に、心の清らかな剛鬼という少年がいました。
 剛鬼少年は水泳が大好きでした。毎日毎日スイミングスクールに通っていたほどです。
 ところが剛鬼少年は中耳炎にかかってしまい大好きな水泳を辞めなくてはならなくなったのです。
 中耳炎の手術自体は滞りなく終わったのですが、数日後、縫合に使った糸が切れないという事態に陥ってしまったのです。
 ああ、剛鬼少年を助ける方法は無いのでしょうか?
 幼稚園のお友達はみんな悲しんでいました。
 みんなは剛鬼少年のために祈りました。
 すると、天からの光が剛鬼少年を優しく包み込むではありませんか!
 そうです、みんなの願いを神様が聞き届けてくれたのです!
 光に包まれた剛鬼少年の縫合糸はいつの間にか無くなり、翌日には元気一杯にみんなと遊んだとさ。






 日本には本当に多くの宗教団体がありまさ〜な。そりゃもうビックリするくらい。あれやこれや挙げるのは面倒なので言いませんが、その中の1つ、「崇教・真光」についてちょっと書きます。ちなみに実体験ですので。 


 アレは幼稚園の年中さんの頃だと思うんですが、俺、中耳炎にかかっちまったんですよ。
 で、手術したのは良いんだけど、その後の縫合糸を切る段階でトラブル発生。糸を切ろうと口からハサミ(?)を入れようとすると、「オエッ!」っとなってしまいなかなか糸が切れなかったんだと。
 25歳になった今でも頭パ〜プリンなので、糸が切れなかったらどうなん?飯が喉にある糸に引っかかって飲み込めないとか?って感じで、どれほど危険なのかよく分からんが、とにかく早急に切らなきゃいけなかったみたい。


 はてさて医者は困った。そりゃそうだ。切らなきゃいけないのに俺が切らせないんだから。まぁ、切らせなかった記憶なんざ残っちゃないんだがね。
 で、困った母は「崇教・真光」という宗教なんぞに手を出したわけだ。せめてブラック・ジャックか何かに頼むとかさ〜・・・っていうか、全身麻酔かなんかで眠らせているときに切れなかったんだろうか?金の問題で無理だったのか?なんて事はどうでも良くて、とにかく母親は宗教家になり、神様に俺の喉の糸が切れるようにお願いしたわけだ。


 でも考えてみ?そんなんで糸がどうにかなるんだったら医者だって苦労しねーつうの。いや、考えるまでも無かったな。もちろん母親が宗教家になったところで俺の喉で阿弥陀クジみたいになっている糸が切れるわけも無くって溶けちゃったよ!体液じゃ溶けないって言われてた糸が綺麗サッパリなくなっちゃってるよ!





 恐るべし、崇教・真光!





 医者が言うには、俺の体液が普通の人より強かったため溶けたらしいが、母はというと、




 「主の大神様(すのおおみかみさま)のおかげだわ!」




 洗脳完了デカルチャー。
 その日から母の崇教ライフは始まった。




 崇教・真光の組み手が
 奇跡の業を完成させるタイムは
 わずか一時間ほどにすぎない。
 では渋川剛鬼の糸が溶けて無くなるまでのプロセスをもう一度みてみよう!
(もう一度?)
 「お辞儀!」
 「タダイマヨリ、シブカワゴウキサン ノ オキヨメ ヲ サセテイタダキマス・・・」


 組み手の要請を受け主の大神は、組み手の持つオミタマを通して真の光を放射する。真の光は洗脳刷り込み作用で救われたと思い込ませるのだ!





@まずは神様にご報告
 なにやら正座させられたかと思うと、ある方向に向かって何回かお辞儀、そして「ただいまより、●●さんのお清めをさせていただきます。尊きみ光を充分に賜りますよう、おん願いもうしあげます」っだった様な事を言い終わると、清める側と清められる側は正座したまま向かい合う。

↑清める側  ↑清められる側



Aやっぱり呪文
 向かい合うと、清められる側は胸の前で手を合わせ目をつぶらなくてはならない。そして清める側は目を開けたまま手を合わせ祈言(のりごと)と呼ばれる呪文を唱える。正式には「天津祈言(あまつのりごと)」とか言うらしいが良く覚えていない。

 〜天津祈言〜

 
「極微実相玄幻子界 高天原に神魂霊 燃え出で坐す 神ロギ神ロミのみ力もちて 万生とヒトの御祖神天津主の真光大み神 祓戸の大神等 諸々の逆法魂霊の包み気枯れをば真光もて開陽霊気与め霊削ぎ給いて 神の子の力蘇らせ給えと申すことの由を畏み畏みも白す 御親元主真光大御神 護り給え 幸い給え 惟神 魂霊 幸いませ 惟神 魂霊 幸いませ」(母の持ってる本より抜粋)

 なんつーか、振り仮名なかったら読めねーよ!・・・とにかくこんなワケ分からん長い呪文唱えられているうえに、こちとら目をつぶっている。コレだけで眠くなるってもんだが、こっからが本番なんだよな。


ふおぉぉおおおお!


 ちなみにこう読む↓

 〜あまつのりごと〜

 「ごくびじっそうげんげんしかい たかあまはらにかむたまひ もえいでます かむろぎかむろみのみちからもちて ばんせいとひとのみをやかむあまつすのまひかりおほみかみ はらひどのおほかむたち もろもろのさかごとたまひのつつみきがれをばまひかりもてはらいきよめみそぎたまいて かみのこのちからよみがえらせたまえともうすことのよしをかしこみかしこみもまおす みおやもとすまひかりおほみかみ まもりたまえ さきはいたまえ かむながら たまひ ちはいませ かむながら たまひ ちはいませ」



B手をかざす
 呪文が唱え終わると、手のひらを悪い(らしい)部分に向けて真の光を放射!


掌に気を集めて・・・





 もちろん見えん。が、放射!色んな所に放射!





バアアァァアアッ!!(嘘)



 その光によって悪いものが溶けるんだとさ。

もちろんこんな事は無い



 全箇所きっちりやると一時間ぐらい。でも、結構テキトーだから早く終わる人もいる。
 で、終わった頃には気分爽快、夢一杯!いやっほう☆



ぱんぱかぱ〜ん




 んなワケあるかー!そんなんで糸溶けるかー!

 でも母はそう信じ込んじまってるんだよなぁ・・・。
悲しいけどコレ、洗脳なのよね。



 そういえばこんな事があった。

「おかん、虫歯になったみたいで歯が痛いんだけどさ〜。真光で治せんなら治してくんない?歯医者行く金無くてさぁ」

「真光だと痛みは引くけど、虫歯自体は治らないわよ?







 痛み止めか、真光!





 結果  痛みも引かんかった。




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